第36話
その後いつもよりはゆっくり、と言っても喋る暇はなかったけど…昼ご飯を食べ終えて午後の授業を乗り越えた。そして今日も部活に行く里恵さんを見送り、図書館で勉強した。
そして今日は閉館時間の6時30分まで里恵さんは来なかった。完全下校時刻は7時だし、まだ部活中かな?できれば迎えに行ってあげたい、けど里恵さんの部活が何か分からないんだよな。とりあえずRAINで校門前で待ってることを伝えておくか。
それから10分くらい待ってると里恵さんがやってきた。その周りには一緒の部活の人かな?が5人くらいで楽しく話しながら歩いていた。里恵さんも楽しそうだし、邪魔にならないように帰ろうかと思ったとき、里恵さんが少し悲しそうな顔をした気がした。ほんの一瞬だったし、一緒の人は誰も気づいてないみたいで俺の気のせいかもしれないけど、何故か頭から離れない。
「…ねぇ、俺も混ざっていいかな?」
俺は半ば無意識にそう声をかけていた。もし昨日だったらそのまま帰ったかもしれないけど、今日は放っておけない。…いや、俺が里恵さんと一緒に帰りたい!
「…守、君?」
「そうだよ?…全く、そんな顔すんなよ」
ぎゅっ!
「…えっ?ちょっ!?…り、里恵さん!?」
「
「…ごめん、不安にさせて。俺は里恵さんと一緒に居たいからさ」
…俺のせいで悲しそうな顔をさせちゃったんだ。そう思うと少し複雑ではあるけど、そこまで俺のことを考えてくれてたんだと嬉しくなった。…とか、別のことを考えてないとドキドキして死にそうなんだけど!里恵さんが俺に抱きついてきた!?
「…初めて、守君が言ってくれたね。一緒に居たい、って」
「そ、そう、だっけ?思ってはいたんだけど、確かに口に出してないかも」
「…ねぇ、本当にそう思ってくれてるの?私だけじゃないって思ってもいいの?」
「もちろんいいよ!…というか、俺も一緒に居たくない人と我慢してまで接するような人物じゃないからね」
「…そう、なの?てっきり私に興味なんてないのかなって。昨日は話しかけてくれなかったし、今日だって他の子に連れられて無理矢理だったんじゃないかって…」
…そう、思わせちゃったんだ。確かに今までの俺は受け身になってたのかもしれない。里恵さんはあんなに俺に対する好意を表してくれてたのに、俺から彼女にしてあげられたことって何かあったっけ?
「…俺は里恵さんだからこんなことするんだよ?」
「〜〜〜ッ!!?」
俺は里恵さんの背中に手を回して、耳元でそう呟いた。その瞬間に里恵さんの体がビクッと跳ねたことに密着していた俺は気づいた。
…俺は一体何を里恵さんに返せるんだろうか?初恋をしてる真っ最中の俺は女の子が喜ぶことが何か分からない。
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