第26話 ★

〜里恵視点〜


 守君が帰ったあと、私は1人で考えます。私は守君とえっちなことをしたかったんでしょうか?その答えはまだ出てません。でもいつか結婚してそういう行為をして子供もできて家族を築き上げること。夢、とまでは言えないけど私の理想です。その相手は守君がいい。ううん、守君じゃなきゃやだ!


 …難しく考える必要はないよね?私は守君が好き。だから守君と一緒にいたい。それが本心、だね。守君がしたいならえっちなことをしてもいいし、お喋りでもご飯でも、もちろん並んで歩くだけでもいい。


 …でも、一緒にいるとどんどんそれ以上を望んじゃう。隣にいれるだけでよかったのに、私に微笑みかけてほしくなる。手も繋いでほしくなる。まだまだしてほしいことは無限に溢れてくる。頭を撫でてほしい、腕に抱きついてみたい、恋人繋ぎをしたい、抱きしめてほしい、キスをしたい。その最終的な形がえっちしたい、になるのかな?


 未来のことは未だによく分からないし、自分がえっちしてる想像もできないけど、守君にならどんなことをされても平気です。逆に守君以外とは絶対にやりたくないです。…そっか、恋をするとこんな考えになるんだ。


 守君のことを考えて会いたくなった私は早速RAINをすることにした。そしてアプリを起動させると守君のアイコンが…。思わず緩んでいた頬を引き締めます。私しかいませんが念のためです。と、言うよりも、気を引き締めないとずっとゆるゆるな頬になってしまいそうです。そんなのは可愛くないのでダメです!


 …。……。………、はっ!私、今何を!?気づいたらベッドの枕に顔を埋めて足をばたばたさせていました。RAINはまだ送っていません。それでも、何故かあとは送るだけとなっているメッセージがあります。


 「…ヒッ!」


 正気に戻った今恐怖でしかないです。一体だれがこんな怪文書を作りあげてしまったのか、って私しかいないんだけど。…だけど、流石に『愛してる』が並んでるものを見ると…うん。私なら即ブロックだね。しかも夜だし、寝られなくなるよ…。そんなくだらない…くだらない?ブロックするのは正常だと思うけど、こんなの送るとか意味分からない!せっかく交換できたのにすぐにやり取りできなくなるなんて絶対イヤ!!


 …どう、しよう。どんな文章がいいんだろう?こんな論外はすぐに消すとして、大好きくらい?そもそも、用もないのに送っていいの?迷惑になるかも…。


 「里恵〜、ちょっといい?守さんに渡したいものがあるから少し早く来てくれないか頼んでくれる?」

 「お母さん!!どうしてここに?っていうか、どうしてRAIN交換したこと知ってるの!?」

 「どうして?って、お風呂空いたから伝えにきただけよ?それに、スマホ見てぅんぅん悩んでたら分かるわよ。連絡手段があって、でも初めてだから何を言おうか悩んでる、かしら?だから私がきっかけをあげるわよ」

 「…ありがと」


 …やっぱりお母さんは何でもお見通しなんだね。

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