第25話 ★

〜里恵視点〜


 家に帰ってきた私たちは手洗い、うがいを終えリビングにやってきた。そこに並べられていた夕飯はなんと!!日本の伝統食文化にして世界にまで広まっているもの!更には私の大・好・物!!口に含んだ時に感じるのは新鮮な魚の味、ほんの少し酸っぱめに味付けされたご飯は噛む度に甘みが溢れやがて様々な種類の魚の味と混ざり合い一時も同じ時がない。そして最後に待っているのは鼻から抜けるワサビのツンとした風味。単体なら不快になるだけのそれが適量あることによって口の中にある後味を消してくれる。そうして残るのは美味しいものを食べた充実感とまた食べたいという欲求。…そう、それこそが食べ尽くすまで止まれない魅惑の食べ物、SUSHI!!もう私を離してくれないの。


 せっかく私が楽しんでたのにお母さんの邪魔が入った。もう、静かに食べさせてよね、もぐもぐ。…だけど今日はなぜか別の視線を感じる。はぇ?…そうだ、守君!守君がいるんじゃん!私のバカ〜!!食い意地の張った奴だと思われちゃうじゃん…。でも、守君は肯定してくれた。美味しいものは美味しいんだから仕方ないよね!


 その結果、不意打ちお寿司10割だった頭の中が、お寿司2割、守君7割、その他(お母さんや勉強など)1割になった。意地悪言うお母さんなんてもう知らない。


 ご飯の後は守君に勉強を教えてもらうことになった。私もそこそこはできるつもりだったけど、守君はその一段も二段も上だった。…やっぱり、これが積み重ねた差ってやつなんだよね。いつか守君と並び立ちたい。そのためにも、今は勉強を頑張らないと!…そう、思ったのにお母さんがやってきた。そして私があんまり勉強してないってバラした。…そりゃ、私も高校生だし。必要最低限の課題だけしかやってなかったのは認めるけどさ!


 …だけど、私の訴えなんて無視して会話が続けられる。まるで私はいない人のように。…そういえば守君はどんな人が嫌いって言ってたっけ?。守君から見た今の私、だよね?そう思うと胸が張り裂けそうな程痛くて、でもこれ以上守君に迷惑かけたくないからその痛みを我慢して。


 でも守君は分かってくれてた。嫌わないって言ってくれた。それが嬉しくて、でも少しだけ不安で。だから、証が欲しかった。もっと強い繋がりを持ちたかった。だから私は守君にえっちなことを誘った。すごくドキドキして、心臓が破裂しちゃわないか心配だった。少しでも守君の近くにいきたい、守君に触れたいし触れてほしい、…守君の存在を強く感じたい。…それでも守君は私のことを考えて断ってくれました。何より、私の焦りが伝わったのかずっと側にいてくれるって言ってくれました。その一言で私の心はすっと軽くなりました。

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