第23話 ★

〜里恵視点〜


 …今日も色々なことがあった。朝から好きな人と一緒に学校に行く。そんな憧れが叶いそうで浮かれていたのは確かなんだけど、それを守君にバラすなんて酷い!…だけど、可愛いって言ってもらえた。…うん、お母さんのことは許してあげよう。


 それから朋花とも会ったんだけど、なんと私!守君にプロポーズされちゃいました!!ドンドンパフパフ!!…なんて、ね。守君が優しいから私をずっと笑顔にさせる、なんて言ってくれただけだよね?だって、その後すぐ先に行こうとするんだもん。思わず引き留めちゃった私は悪くないよね?


 学校に着いてからも色々あった。うん、本当に。…私が振られたことが本当に知れ渡っていた。でも、みんな心配してくれてたな…。それから、朋花と守君が仲良くなってて少し嫉妬しちゃった。本当なら喜ばないといけないのに、取られちゃうって…。そして、今日一番の衝撃発言。「一緒にいるのは辞めよっか」だと!!それを聞いた途端、頭の中がぐちゃぐちゃになって、何も考えられなかった。…ううん、考えることを拒否した。だからつい、感情をむき出しにして色々言っちゃった。無我夢中でどんなことを言ったか覚えてないけど、きっと酷いことも言っちゃったよね…。でも、守君は分かってくれた。私の話を聞いて私のことを考えて、ちゃんと私と向き合ってくれた。その優しさが嬉しかった。…ちょっとわがまま言って名前呼びにしてもらったのもそのときだったな〜。これは今日一番の成果かも!!


 そうして始まった授業。もしかしたら目が合って、小さく手を振ったりできるかも。そう思って守君のことを見てもこっちには視線を向けてくれない。…でも、真剣に黒板を見て勉強してる表情はカッコいいから大満足です!


 そして始まるワクワクの休み時間。話しかけられるかな?って守君の様子を伺うと、次の授業の復習?予習?をしていて話せませんでした。守君がそんなに勉強を頑張ってるなんて知りませんでした。…そういえば、毎日のように放課後は図書館で勉強してるって言ってたような。だけど、不満は溜まっていきます。


 そんなこんなで昼休みになりました。私が話しかけようと席を立つ…前に守君は席を立ちました。それから教室を出て、少ししたらジョーロを持って入ってきました。そして教室の花壇に水をあげています。綺麗だと思ってたお花の世話をする人がいるなんて当たり前のこと、今までは気にもしていませんでした。あるのが当然、なんて私はいつからそんな酷い思考になったのでしょうか?…だけど、お花の世話よりも私と世間話でいいからおしゃべりしたい。そうは思っても残り少ないお昼の時間で少し急いで食べる守君を邪魔するなんて私にはできません。


 「もう、そんなにむす〜っとしてると可愛い顔が台無しだよ?」一緒にご飯を食べてる朋花にそんなことを言われました。そんなに不機嫌そうだったんでしょうか?でも、守君にも笑ってる方が可愛いって言われてました。うわ〜、里恵もそんな色っぽい表情するんだ、なんて言われてもどんな表情なのか分かりません。でも、守君を思い出したからか不満が少しなくなりました。

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