第21話

 それから俺は自宅に帰ってきていた。…もし、あそこでどうしてもしたい、なんて言われたら?俺はちゃんと断れたんだろうか?それとも、雰囲気に流されてしまったのだろうか?


 そもそも俺自身、里恵さんのことをどう思ってるのか?ただの友達?…違う。それだけならこんなに干渉しないはずだ。(友達いないから分からないけど)じゃあ、俺が守らないといけない可哀想な子?…違う、はずだ。その見方は止めて里恵さんとして見たはずだ。


 …もう、気づかない振りは限界かな?俺は里恵さんのことが…なんだ。女の子として、異性としての、好き。


 里恵さんはどうだろう?少なくとも好意は持ってくれてるはずだけど、それが恋愛感情なのか依存なのかは分からない。だから、知りたい。だけど、知るのが怖い。…俺は、どうしたらいいんだ?どうしたいんだ?


 「何だ?…志多さんからのメッセージ、、、はっ!相談があるって言ってたじゃん!!」


 俺は慌ててRAINを開いた。


 『早速なんだけど相談、いいかな?』

 『もちろんいいよ』

 『じゃあ、これ見てほしいんだけど』


 そうして送られてきた画像を見て、俺は言葉を失った。それはRAINのトーク画面のスクショだった。


 『1組の新妻って女知ってる?そいつが告ってきたから仕方なく付き合ってやってたのに他の女と遊んだ程度で別れてきた』

 『うわ〜!和哉かわいそ〜。…まぁ、ヤるだけヤったんでしょ?』

 『それがさ、そいつ、結婚するまでしないとかで、キスすらできてねぇよ』

 『ははっ、そうか。やっぱ和哉がヤってれば離れられないもんな。そういう奴はもう10人くらいいるんだっけ?』

 『13だな。そこに追加予定のが4、いや、1人減って3人だな』

 『いいな〜、1人くらい分けてくださいよ』

 『いやだね。俺みたいな勝ち組が独占するのが当然だろ?』


 「…何、で?里恵さんがどんな気持ちなのか分からないのかよ!あの子がどんなに傷ついてるか考えないのかよ!!」


 俺は無意識に握り込んだ拳の痛みで我に返った。…そうだ、まだ大丈夫。


 『見てくれた?私の親友はずっと騙されてたの。…杉田君は大丈夫だよね?もし、里恵に酷いことしたら許さないから!』

 『うん。俺は里恵を傷つけることはないと誓うよ。…このことは里恵さんには?』

 『具体的には言ってないけど、広めてるって伝えてある。…実際には隠そうとしてるみたいだけど、クラスの女子には私が伝えた』

 『…なるほど。俺に何かできることはある?』

 『里恵のことを守ってほしい』

 『そのくらいなら言われなくてもそうするよ』

 『…うん。後は様子見になると思う。下手にこっちから関わるよりも、もしかしたらもう会わないかもだし』

 『分かった。何かあれば言って』

 『うん』


 俺は志多さんとのやり取りをそこで終えた。

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