第13話
「おっはよ〜!」
「うわっ!」
俺と新妻さんに話しかけてきた女の子がいた。それと同時に肩を叩かれて思わず変な悲鳴が出ちゃったよ。俺が振り返るとそこにいたのは…
「あっ、朋花!おはよう!」
「えっと、志多さん、だっけ?おはよう」
「うわっ!だって〜。あはは、おっかし〜!」
「なっ!」
話したことはなかったけど、志多さんは明るい人のようだった。失敗を笑われても嫌味には聞こえなかった。きっと、それが人柄とかって言うものなんだろう。…失敗したこと自体は恥ずかしいから蒸し返さないでほしいけど。
「もう、朋花!!杉田君に迷惑でしょ!!」
「ごめんごめん。迷惑かけるつもりは全くないんだけど…」
そこで言葉を区切った志多さんは俺の方へ視線を向けた。その瞳は真剣で、何かを見定めているような気がした。
「…うん、今度は大丈夫そうだね。…改めて自己紹介を。私は志多 朋花。里恵の友達…ううん、私にとって里恵は親友なの。だから、里恵を悲しませたら許さないからね、杉田君?」
「…当然。俺は杉田 守。新妻さんを傷つけることなんて絶対にしない」
志多さんの最後の言葉に全部が詰まってるように感じた。だけどそれに対しての俺の答えなんて昨日の時点から決まっている。そうじゃなきゃ家まで上がりこんだりしないでしょ?
「…その言葉、信じてるからね」
「うん。俺にできる範囲で新妻さんを笑顔にすることを誓うよ」
「ふぇ!?」
「…杉田君って、無自覚にそういうことを言ってるの?それともプレイボーイ?急に心配になってきたんだけど」
俺が宣言すると何故か横からは驚いたような声が聞こえてきて、志多さんからはジト目を向けられた。…いや、何で!
「っと、そうだ。せっかくなら俺はいない方がいいよね?親友2人での登校の方がいいだろうし、先に行くね」
「!だ、ダメ!!」
「えっ?」
俺が先に学校に行こうとしたら新妻さんがそれを引き留めてきた。驚いて新妻さんを見ると真っ赤になっていた。だけど、ギュッと手を握られていて、無理矢理振り解くこともできるけど、したくない。
「ハァ〜、無自覚の方だったか〜。それは一番厄介なんだけど…見る分には一番面白そうだからいっか〜」
志多さんはそんなことを呟いていたけど、新妻さんの方に注目していた俺は気づかなかった。どうして新妻さんは俺を掴んでいるんだ!?何か用事がある、なんて様子でもないのに。
「っと、私は先に行くね〜!」
「えっ、ちょっ、志多さん!」
「じゃっ!アデュー!」
それだけ言って志多さんは先に行ってしまった。…いや、志多さんって新妻さんの親友なんだよね!?親友を放っておくの!?
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