第11話 ★

〜里恵視点〜


 『へぇ、どんな人なの?』

 『凄く優しいの。私をずっと気遣ってくれて、家に送ってくれただけじゃなくてお母さんと話して送り迎えしてくれるって!!』

 『なるほどね。…うん。あのクズよりもよっぽどいいと思うよ!』

 『だよね!!』


 私は朋花が受け入れてくれたから少し浮かれていたんでしょう。すぐにそう返信した。普通ならそんなことで気づかれることなんてなかったでしょう。でも、相手は私の親友です。何が言いたいのかというと…


 『もう好きなんだね。…あっ!もしかして明日の放課後の用事って、一緒に下校することでしょ!』

 『何で分かったの!?』


 そう、私の気持ちがバレました。もちろん、最初からずっと隠し通せるなんて思っていません。それでもまさかRAINでの文字だけのやり取りで気づかれるなんて想定外です。


 『それくらい分かるよ。今里恵が元気なのもその人のおかげなんでしょ?私も感謝しないとな。って、そう言えば明日から一緒に登校するんだっけ?そのときに挨拶すればいっか!』

 『もう!何で朋花がそんなことするの!!』

 『だって、親友を助けてくれてありがとうって伝えたいもん』


 そんなメッセージに私は心が温かくなった。…私は色んな人に愛されてるんだって実感があった。


 『…うん。私も大切な親友だって紹介したい』

 『うん!…って、そういえば相談だったよね?どうしたの?』

 『その…どうやってアプローチすればいいのかなって』

 『あ〜。なるほど、ね。それは確かに難しいね。私は全く相手のことを知らないし、下手なことをすると逆効果になっちゃうし…』

 『やっぱり、そうだよね』

 『うん。優しい人なら里恵が落ち込んでると思ってる間は進展ないかな?かと言って、もう大丈夫だと思われても接点がなくなるかもだし』


 …うん。やっぱり私が杉田君と、なんて高望みし過ぎなのかな?


 『けど、一緒に登下校することになったんでしょ?周りの人にあの2人が一緒にいることは普通だと思われるようになればいいのかな?外堀を埋める、的な?』

 『…それって、迷惑かけるって意味だよね?できれば、そういうのは避けたいな』

 『やっぱり里恵は里恵なんだね。なら、やっぱり相手のことを知って、自分のことも知ってもらって徐々に距離を詰めるのがいいと思うよ』

 『うん。それが王道なんだよね。頑張ってみる!!朋花、ありがとう!』

 『どういたしまして!時々どこまで行ったか教えてくれると嬉しいな』

 『うん!もちろんだよ』


 それから少しして私たちはRAINを終えた。いつの間にかお母さんもいなかったけど、私はすっきりした気持ちで眠りに落ちた。

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