第6話
「そこで、私から相談です。これは新…里恵さんにも伝えてないんですが、もしお二人がよければ明日から様子を見に来させていただいてもよろしいでしょうか?」
「…様子を、ですか?どういう意味ですか?」
「朝、元気そうかどうか見に来たいんです。そしてもし登校できるなら、登下校を一緒にして、学校に行きたくないようなら、放課後に配布物でも持って授業内容を教えに来たいんです」
俺は里香さんの目を見てそう宣言した。俺はずっと考えていた。どうして新妻さんは自殺しようとするほど追い詰められないといけないのか?そんな救いのない人生でいいのか?って。
…俺はきっと踏み込みすぎなんだろう。今日初めて話したような相手にこんなに踏み込むなんて。…でも、俺は、、、
「…杉田君は、どうしてそこまでしてくれるの?」
「だって、何も悪いことしてないじゃん。それなのに、理不尽に傷つけられてさ。そんなの、放っておける訳ないよ」
「…そっか。杉田君は優しいんだね。…あ〜あ、私の彼氏も杉田君みたいだったら良かったのにな〜」
新妻さんの言葉に一瞬ドキッとしたけど、悲しそうな彼女を見て思い直した。…やっぱり、まだ元カレのことを引きずってるんだよね。
「…最後に、一番大事なことを聞かせてちょうだい。守さんは…彼女はいるのかしら?」
「へっ!?…い、いえ、居ませんけど」
「なら大丈夫ね!守さんさえ良ければ、ぜひ娘をよろしくお願いしますね」
どうやら、里香さんには認めてもらえたみたいだ。彼女がいるのか聞かれたってことは、やっぱり嫉妬とかが怖かったのかな?俺が女子と一緒だからって嫉妬してくれるような人はいないけどね。…思って悲しくなるけど、無視だ無視!!あとは新妻さんがいいって言ってくれればいいけど…。
「…里恵さんはどうかな?俺が一緒だと迷惑?」
「そんなことない!!…お願いしても、いいの?」
「もちろん!こっちからお願いしてるんだよ」
「…うん!」
新妻さんも頷いてくれた。これで明日から問題なく新妻さんの様子を見に来ることができる。せめて元カレから受けた傷が癒えるまではなるべく側に居たい。…もう、死にたいなんて思ってほしくない。
「それじゃあ、守さんにもしっかりとお礼をしなければなりませんね。里恵、あーんでもしてあげたらどうかしら?」
「へっ?…な、何言ってるのよ、お母さんは!?」
そんな中、里香さんの爆弾発言が炸裂した。案の定新妻さんは真っ赤になって里香さんに詰め寄った。
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