第4話
学校を出た俺たちは新妻さんの自宅に向かって歩いていた。…まぁ、俺は場所を知らないから少し後ろを歩いてるんだけどね。
「…ここ、だよ。ありがとね、送ってくれて」
「いや、全然大丈夫だよ」
そう言って案内されたのは、学校から徒歩15分くらいの場所にある一軒家だった。そこには既に明かりがついていた。高校では珍しいとは言え、一人暮らしの可能性もあったけど、家族がいるなら安心かな?
…まだ、俺にはやりたいことがあるからインターホンに手を伸ばす。中途半端になるよりも、一度でも助けたいと思ったなら最後まで徹底的に見届けるべきだ。だから、俺はやる。
「?は〜い、どちら様でしょうか?」
そう言って出てきたのは、20代前半くらいの綺麗な女性だった。新妻さんには聞いたことなかったけど、お姉さんでもいたのかな?
「突然押しかけてしまってすみません。私は新妻さん…えっと、里恵さんのクラスメイトの杉田 守と言います。里恵さんのことで少し相談が…。えっと、里恵さんのお姉さん?」
「あらあら、まぁまぁ!!私は里恵の母の新妻
「…えっ?」
新妻さんのお母さんはニマニマして中に入るように促してきた。…いや、大学生でも十分通じるような人が母なんて嘘だよね?
「ちょっと、お母さん!!」
「あら?里恵もいたのね。お帰りなさい」
「ただいま。って、そうじゃなくて!!」
「里恵?…早く入っちゃいなさい」
「!?…は〜い」
新妻さんはそう言って家の中に入っていった。…一瞬、里香さんから圧を感じたような。気のせい、だよな?
「守さんもどうぞ。何もない家ですが」
「…では、お言葉に甘えて。お邪魔します」
玄関での話し合いでもいい気がしたけど、さっきの圧を思い出して俺は里香さんの提案を受け入れた。…余計に逃げられないことに気づいたのは、家に入って"ガチャッ"っと玄関の鍵を閉められた後だった。
「そうだ、守さんも晩ご飯食べて行ってくださいな」
「へっ!?い、いえ、流石に申し訳なさ過ぎるので遠慮させてもらいます」
「あらあら。遠慮しなくてもいいわよ。相談?があるのでしょ?ご飯食べながらの方がいいじゃない」
「…わ、分かりました。では、お言葉に甘えてご馳走になります」
俺はそう返すしかなかった。里香さんの言葉にも一理あると思ったからで、里香さんが怖いとかの他意は全くないよ、本当だよ?俺は帰りが遅くなることと、夕飯がいらないことを親に伝えて新妻さん一家の食卓に参加することになった。…里香さんには逆らえないよね?
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