自由~元女奴隷~

 

 なぜ……私はここに居るのかしら?


 あなた達を殺した奴らが、私に覆い被さって、体の奥底へと汚物を吐き出すの。毎日毎日、朝から晩まで、ずっと。代わり代わり……ずっと……。


 下卑た笑い声に、下卑た臭い……。腹の底が捻じ切れる思いがするわ。とても憎らしい。


 舌を噛み切ろうにも、口には布が詰め込まれているし、四肢は縛られているしで、何も出来ないのよ。奴らの首元に噛みついてやったら、どれ程気持ちがいいか。と思うわ。


 歯が砕けるほどにかみ砕いてやりたい。

 形が無くなるほどグチャグチャに殴り倒してやりたい。朝から晩まで、ずっと……毎日毎日……そう思うの。


 擦り切れ過ぎて、痛みも、感覚も。もう無いの。それが唯一の救いだわ。

 だって悦に浸る度に、死にたくなるもの。


 罪悪感で気が狂いそうになるの……。貴方を殺した奴が笑っているのよ?私達の宝物を奪った奴が笑ってるの。私の上で腰を振りながら子供みたいに、無邪気に笑うの……。本当に殺してやりたい。


 手足を千切ろうとしたけど……もう力が入らないのよ。早く死んでしまえれば良いのだけど……貴方が褒めてくれた、丈夫な体が今は憎らしい。


 早くあなたに……会いたいわ。


 そう言えば……。貴方に褒めて貰った尻尾も切られてしまったの。尻尾と耳は高く売れるんですって、死んだら目玉も取られるらしいわ。


 フフッ……私の目玉は、多分高く売れるわね。貴方が褒めてくれたもの。綺麗だね。好きだよ。って言ってくれたもの。


 何で私は……ここに居るのかしら?


 誰かが何か叫んでいるわ。自由?自由になったのかしら?体も痛くないし、自由に動くわ。


 何故……かしら?


 それしても、暑いわね。炎季かしら?

 貴方達がいなくなって、もう季節が二つ過ぎたのね。


 いつ……あの子と会えるのかしら?


 ねぇ?あなた?皆が喜んでいるの。何故かしら?きっと……良いことがあったのね。そうなのね?良かったわ。本当に良かった……。


 ねぇ。あなた、聞いて。もう動けるのよ。お腹い~っぱい。ご飯を食べたのよ?

 私はもう、自由なんですって!ウフフフフ……。嬉しいわ。

 良いわよね?もう自由なんだもの。あの子もあなたと、一緒にいるのでしょう?私の愛しい愛しい。可愛いあの子も……。


 凄く……楽しみだわ。


 今日は、風が気持ちいいの。とっても気持ちいいの……気分も凄く良いわ……。


 だって。貴方とあの子とやっと会えるもの。涙は、もう出ないと思っていたのにね。嬉しいと流れるものなのね……。


 神様……私に自由をどうも、ありがとう御座います。


 今……会いに行くね……愛してる。

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