新たな出会い
元気は掃除中にベッドの下の床が一部。外れる事に気づき、そこから魔力の使い方の本を見つけた。
「本は、高価な物のハズだけど……。何でこんな所に?確か……金貨1枚から3枚するってミリャが言ってたよな?」
硬貨を、日本円に換算するとこうだ。
小銅貨1枚百円。 大銅貨1枚千円。
小銀貨1枚一万円。 大銀貨1枚十万円。
小金貨1枚百万円。 大金貨1枚一千万円。
硬貨10枚毎に繰り上がって行く。
「ミリャの物じゃ……無いよな?」
孤児院の仕事のお給金は、ひと月で大銀貨1枚にも満たない。ミリャナはいつも色違いのワンピースを着回している。下着も開いた穴を繕った、使い回しの物が多い。
「弟さんの物かな?それか死んだ両親の?ミリャに聞いて、知らなかったら売ろう!……そして、ミリャに新しいパンツを買おう!」
家族の誰かの物かもしれないが、ミリャナの為なら怒らないだろうと元気は思った。
「でも……売る前に少し読んでおこうかな……。ふむふむ、なるほど……。魔力は心臓に核が存在する。意識を集中する事で、魔力を感じあやつる……。……どゆこと?……とりあえずやってみよ……」
元気は目を閉じて、心臓の辺りに意識を集中する。すると、胸の辺りにかすかな熱を感じた。
「これか……。これをあやつる。と……。お、動いた!おぉ……何か体がぽかぽかしてきたぞ……これで良いのかな?次……」
次のページをめくろうとして、元気はピタリと動きを止める……。現在ベッドに座って居るのだが、隣に誰か座っているのだ。
この家に住んでいるのはミリャナと元気だけなので、他に人が居るはずが無いのだが、確かに何かいる。ジッと見られている感覚に、元気は冷や汗が吹き出した。
「ねぇ?もしかして見えてる?」
「ひっ!?…………さ、ささ、さ、さぁて!ま、薪割り!薪割りぃ!」
元気はそういって勢いよく立ち上がり、部屋を出ようとした。……が、幽霊に行く手を阻まれた。
「初めまして。僕はミール!ミリャナ姉さんの弟で、この部屋の主だよ」
「え?弟さん?」
少し垂れた目元。後ろで結んだ髪の色はミリャナと同じクリーム色で……12,3歳程の少年。背丈は元気と同じ位で。元気と同じ様なシャツと短パン姿だった。
「君が魔力を操れるようになるのを、ずっと待ってたんだよ。良かった~これからよろしくね!」
「よろしく?何を?」
「そりゃ、勿論。一緒に姉さんを幸せにするんだよ!」
ミールがニコッとわらう。
「それには賛成だけど、君、死んだの?」
「まぁ、そうだね。だから君に頼るしかなくてさ!あ、姉さんには内緒な!」
そう言いながら、霊体なのに肩組みしてくるミリャナの弟ミールと元気は出会った。
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