側溝
大雨の日だった。通学路は雨水に覆われ、絶えず側溝に流れていく。
黄色い長靴が
レインコートに身を包んでいても、どこからともなく
不意に重々しい音がした。フードの陰から目線がそちらへと引っ張られる。異音の源は側溝だった。コンクリートの蓋が、不自然に持ち上がっている。最初は雨水が溢れ返っているのかと思った。そうではないとわかったのは、次々と蓋が浮き沈みしているからだ。
何かが移動している。正体はよくわからない。
足を止め、側溝をくぐっている何かを目で追った。中途半端にブロックの蓋が盛り上がり、また元の位置に戻るために内部は
濡れて
危機感が麻痺していた児童は、視野の端に違和感を
児童は反射的に走り出した。水を蹴り、無我夢中で家へ向かう。
他にそれを見た者はいなかった。おそらくその正体は、一生わからないだろう。
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