第34話 美人女教師の初期好感度が高すぎて

 《クラス替え》スキルで、今選択できる座席は、30席あるうちの5席だ。25席はグレーになっていて選択できない。

 空席は2席なので、とりあえず、鈴の隣の座席をタップして、〈新メンバー加入〉を選択してみる。


――――――――――――――――――

小日向桜をクラスに加入させますか?

Yes or No

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「おお!いけそう!」


「やったわね」


 オレはそのままYESを押す。すると、いつもと違うメッセージが表示された。


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小日向桜はダンジョンに入れません。指導者として加入させますか?

Yes or No

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「ほほう?つまりどういうこと?」


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20歳以上の人物は、クラスの教育担当としてクラスに加入させることが可能です。

しかし、戦闘面では役に立たないため慎重な判断をオススメします。

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「ふむふむ?鈴、どう思う?」


「どうって?あんたに友達30人もできるとは思わないから、なんも考えずに加入させればいいと思うわ」


「……そんな言い方……つらい……」


「はいはい。デメリットとしては、ほとんどのメンバーを教師にすると、ダンジョン攻略に挑めるメンバーが減る、それだけよね?」


――――――――――――――――

概ね、その理解であっています。

――――――――――――――――


「だって。ならいいんじゃない?」


「わかった」


 オレは、〈小日向桜を教師としてクラスに加入させますか?〉に対してYESボタンをタップした。空席だった座席に、小日向桜という文字が表示され、名前の右上に〈担任〉という文字が入る。オレの名前の右上には〈学級委員〉と書いてあって、ゆあちゃんと鈴のところには何もないので、これは役職というやつだろう。


「加入できた?」


 ゆあちゃんが肩を寄せてモニターを覗き込んでくる。


「う、うん……」


「好感度は?」


「えっと……」


「りっくん?」


 見せていいものかと悩んだが、すさまじい圧を感じた。早く見せろ、ということらしい。


「えーっと……」


 諦めて、桜先生の座席をタップする。


――――――――――――――――

氏名:小日向桜(こひなたさくら)

年齢:21歳

性別:女

役職:担任教師

所有スキル:無し

攻撃力:3(E-)

防御力:5(E)

持久力:7(E)

素早さ:8(E)

見切り:2(E-)

魔力:0(E-)

精神力:13(E+)

学級委員への好感度:98/100

総合評価:E

――――――――――――――――


「……98」


「98?え?そんな……見せて!」


「むぐぅ!?」


 顔を思いっきり押しのけられた。


「ほ、ほんとに98もある……ほぼ100じゃない……」


 わなわなしはじめるゆあちゃん。


「やぁ〜ん。恥ずかしいですぅ〜♪」


 桜先生を見ると頬に手を当ててクネクネしていた。全然恥ずかしそうじゃない。むしろ嬉しそうである。


「が、学生を好きになるなんて!教師失格!」


 ゆあちゃんが桜先生の前に歩いて行き威嚇する。


「教師だって1人の女性です!」


 桜先生も立ち上がった。


「っ!?りっくんはゆあの幼馴染だから!」


「王子様は私を迎えにきてくれるんです!」


「また王子様とかいって!夢女きもい!」


「キモくない!自分のこと名前で呼ぶとか!ぶりっ子おつ!」


「っー!おばさん!」


「は!?はぁぁ!?なんだこのガキんちょ!ぶっころしてやりゅ!!」


「落ち着きなさい」


 Bang!Bang!


「いたい!」

「キャン!?」


 鈴がゴム弾を2人のお尻に撃ち込んでいた。尻を押さえて2人がうずくまる。地獄絵図だった。


「モテる男は大変ねぇ」


「……」


「なんとか言いなさいよ」


「……」


 オレは何を言われているのかわからないので、思考を放棄することにした。そして、思考を放棄しているオレの目の前にメッセージが表示される。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

小日向桜の加入特典として5ポイント、好感度ボーナスとして9ポイントが付与されます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 どうやら、ステータスポイントは無事、取得できたようだ。

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