第3話
春は内心分かっていた。初めて会ってたから、彼は優しい人間だと、
決して嫌われる人間じゃないし、私のことを常に考えてくれる立派な兄だったと
【春・・・お前、いつまでも育たないな胸が】
【春、お前の下着でいいから嗅がさせてくれよ】
だが、膨れ上がったトラウマで男の人に対する軽蔑心は強いままだった。
【春ってさぁ、結構金を持ってるよね】
【春が言ってたよ。その金、ゴミから取ってるんだって】
【それ知ってる。それで私さぁ、ヒロくんたちに金を取るようにボコボコにして奪うように頼んだらさぁ、顔を腫れながら、これは妹のだ!!って言いながら守ってたらしいんだよね・・・肝心の妹は兄のことを全く兄として見てないくせに】
・・・しっかりと芯もある人だと
___________
「・・・その顔じゃ、春も分かってるよね。優は関係ないって」
「・・・そんなの、男ならみんな敵だよ!!」
「でも、あなたは家に男の友達連れてきたことあったよね」
「あれは、普通に仕方なく」
「・・・でも、呼んだ事実は変わらないし、怯えてる人ならどんな理由があっても自分の家に呼ぶなんて行動はしないわよ」
母親は、見抜いている。私も高校生になり心が強くなって、男への憎悪は減っていた・・・いや、見下すことで、なんとか保てていた。
「・・・」
「今日って、何の日か分かる?」
「何の日って、何よ。別に特に何もない。勉強は一応してるよ。ちゃんと高得点キープしてるし」
「そうね。勉強が出来て偉いと思うわ。でもそのことじゃない」
「じゃあ、なに」
何も思い当たる日付なんてない、特に誰かの誕生日って訳でも
「・・・っ、」
「その様子、分かったようね」
「でも、だから何!!あの人に謝れって言うの??それとも感謝しろって言うの?今更だよ。それに私はあの人には確かに金は貰ったしこの大学費もあるけど、でもあんなキモイやつもう関わりたくなんて」
私の言葉を聞いて、母親は涙を流して、そして必死に言葉を出すように話す
「・・・そういうと思った。だからね。優は今日からこの家に帰ってこないの」
「はぁ?」
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