『自由になった聖女様』アン・ミカエル・ゴーン著(2)
《第3話『白薔薇の筆頭聖女』にてユフィリアが大切にしている絵本の記録と、 Prologueの前に『自由になった聖女様』(1)を加筆いたしました。ユフィリアの想いに繋がる大切な部分なので、ご一読いただけますと幸いです》
* * *
「でも」
と、聖女様は続けます。
「私の足には見えない足枷がつけられていて、この岩山から出られないのです」
それなら、と旅人は言いました。
「太陽と宵闇の目を盗んで、私が人間を連れてきましょう」
次の日から、聖女様には過酷な試練がまっていました。
旅人は言葉のとおり、魔法で人間を次々と連れてきます。
岩山の外の世界は、病気や怪我人であふれていたのです。
昼間は、太陽の子に加護を与える合間に。
夜間は、宵闇の子に加護を与える合間に。
偉大な聖女様のおかげで人間たちは次々と元気を取り戻しましたが、代わりに聖女様は痩せおとろえていきました。
息も絶え絶えに加護を注ぎ続ける聖女様を見かねて、旅人が忠告をします。
「これ以上グラシアを使ったら、あなたのからだが壊れてしまう」
聖女様はかまわず、人々に加護を与え続けます。
「この足枷のために自由を得られないのなら、せめて、貧しい人びとの役に立ちたいのです」
* * *
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