02.顕現
帰宅した私は早々にパソコンを立ち上げた。
今日の詳細をクライアントにまとめて報告するためである。
クライアントへの報告資料を作成している時に、気配を感じた。
この由緒正しき神社という立地のせいか、それとも自意識過剰なだけなのか、ふとした瞬間に気配を感じることがあり、またかと思い振り返った。
「誰もいるはずもないか・・・」
そう呟き、資料作成に戻ろうとパソコンに視線を戻した。
「・・・・・は?」
画面には見慣れぬ文字列が広がり、見たこともないキャラクターが表示されていた。
「我はいんたーねっとの神である。人々の信仰によって産まれた神である」
画面上に表示されたキャラクターは私に話しかけるようにそう言った。
私はこの現状にとても困惑していた。
初めて見る自称神など知る由なく、有害なサイトにアクセスした記憶もない。
「ハッキングされたか・・・?」
一応、セキュリティの専門家として仕事を行っている以上、細心の注意を払いつつ、パソコンを利用していたのだが・・・
そう思いながらパソコンをインターネットから切り離し、パソコンの中で動いている怪しいプロセスを探す。
「おい、そこの阿呆面、聞こえておるのか?我の声が聞こえておるじゃろ」
とりあえずそれらしきものを見つけ出せたので駆除を試みる。
「おい!じゃから聞いておるのか!?な・・・なんじゃこれは・・・グワァァァァ」
が、失敗。しかたなく隔離処理を試してみる。
「やめんか!まだ産まれ落ちて間もない我にそれは効く!我は神ぞ!罰当たりなことはやめい!」
隔離も失敗・・・?
仕方がない。今日の作業報告書は惜しいがパソコンの初期化を試みることにする。
バックアップは日頃からとっているし問題ないだろう。
「ハニーポット経由で感染したか?でもあれは完全に隔離しているはずなんだが・・・」
原因を考えながら強制的にパソコンの電源を切り、初期化を行おうとリカバリモードで起動を行った。
「おい!!!!じゃから!!!!!話を!!!!きけ!!!!!!!!!!」
「なんだ・・・このウイルスは・・・・」
有り得ない事態に困惑し、思わず一人つぶやいてしまった。
「じゃから!我はウイルスなどではない!いんたーねっとの神と言っておろう!話をきけい!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます