いんたーねっとの九十九神様
辛酸鬼六
01.寂れた神社
私は今日の業務を終え、深夜の都市、ネオンの光が雨に濡れた街道を反射し、無数の光の線が路面に広がる街中を横目に少し離れた山の麓にある、寂れた神社に向かって足早に歩く。
「今日のトラブルも中々に手強かったな・・・」
今回の依頼内容を思い出し、そう独り言ちる。
テクノロジーの発展に伴いインターネットが普及し、誰もが簡単に情報のやり取りができるようになって早数十年。
サイバー空間での犯罪のほうが労力の割に見返りが大きく、捕まるリスクも少ないため、今やリアル世界での犯罪よりも多くなっている。
それらの犯罪者に狙われた企業や企業のシステムが悪意を持って攻撃を受けた場合に攻撃のルートや原因の調査、原因の除去、必要に応じて復旧作業から対策の検討まで行うことが私の仕事だ。
言わば私はサイバーセキュリティの専門家である。ただしフリーランスであるが。
今回のサイバー攻撃は中々に巧妙で、原因の調査に時間がかかったが、早期に対応できたため、大きな被害もなく無事に深夜に帰宅できた。
そう考えつつ、今後の対策を頭の中で検討しているうちに自宅に到着した。
「明日は神社の清掃をするか・・・」
突然であるが、私の自宅は年百年前から続く由緒正しき神社である。らしい・・・。
ある時を境に参拝者が減っていき今では寂れて見る影もないが、その昔はそれは多くの参拝者で賑わっていたとのことだ。
じいさん曰く、神がお隠れになったことが原因だとかなんとか・・・。
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