第27話 『027 冒険者ギルドへ』

『027 冒険者ギルドへ』


ニーナが強いのはすでに戦闘で証明されていて、どの程度の強さかを計測してみたい。


今のところ俺がギルド内にいても不審には思われていないのは良かった。


誰も俺など注目していない。


ギルドにはランクを計測できる装置がある。


ニーナに相談すると、


「私の魔力を計測するのを試したい、ドキドキ」


「受付嬢にお願いしよう」


受付嬢にお願いすると計測をしてくれた。


装置は水晶で手を置くだけで判定できるお手軽。


ニーナは水晶に手を置くと反応して色が変色した。


受付嬢は驚く顔で、


「これは凄い、ニーナはAランクです」


「なんだSランクかと思ったのに、悔しいな」


「いやAランクでも凄いんだよ」


Aランク判定だった。


めったに出ない判定だろう。


周囲の冒険者が注目してしまった。


「仲間の方もどうぞ、よろしければ」


「俺はどうかな」


「はい、Fランクですね」


「Fランクですか」


やるつもりはなかったけども受付嬢が誘うからやってみた。予想通りにFだった。


悪役貴族の設定なのでFランクは妥当だろうな。


ただストーリー上でオーガ斬りを覚えて、魔剣ライゼンを持てたから、異常に強くなっている。


本来は激弱のキャラだ。


受付嬢は残念な顔になるも俺は気にしない。


むしろ生きていくのに目立たない方がいいので好都合。


計測を終えてギルドの掲示板を見る。


ここは依頼の内容が書かれてある。


ランクや魔物の名前などがあり自分のランクにあったのを選ぶ。


俺が探すのは悪役貴族のガイルと書かれてある依頼書だ。


これがあれば俺が狙われることになるからだ。


だからニーナにはガイルという名前を出すなと初めに言っておいた。


「なあ獣人さんよ。今の水晶を見たぜ。すげえな。俺のパーティーに入らないか?」


ニーナに声をかけた冒険者。


パーティーへの誘いか。


「いいえ入りません。仲間がいますので」


「仲間はFランクだったぜ。俺達のパーティーはCランクパーティーだ。こんな仲間は見切って俺のパーティーに来いよ」


俺を除外させる気か。


ずいぶんと大胆な奴だな。


「断ります」


あっけなく断るニーナ。


残念だったな冒険者さん。諦めるだろうな。


「ふざけんな。俺様が誘ってんだぞ。断るのは納得いかない」


「弱い冒険者には興味がないの」


「なんだと? じゃあこの仲間の男と俺が勝負して俺が勝ったらパーティーに入れ」


「わかりました。入ります」


えっとニーナ、勝手に決闘を認めちゃったのか。


ニーナは俺に任せる顔を作る。

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