第22話 『022 宿から脱出』

『022 宿から脱出』


街路に移動すると敵が姿を現した。


冒険者か。


「ガイル様、敵です」


「人数は?」


「50人はいます」


50人以上はいると教えてくれた。


数ではすでに俺が不利だな。


「悪貴族ガイルだな? それと一緒にいるのは獣人の女が一名」


「ガイルだが、俺に何か。わざわざ宿に侵入してくれて」


「よくぞ我らの侵入を察知して避難した。それは褒めてやろう。普通なら宿でガイルと獣人は死んでいる」


「殺す気か俺を? 俺はお前の顔を知らない」


「押してやるよ、ここで俺に殺させるんだからな。俺達は町の冒険者パーティーで、獅子の聖者。Bランクパーティーだ」


「獅子の聖者だったのか。名前も知っている」


獅子の聖者はゲーム中にも登場したのは記憶にある。


Bランクであって団長は確かムヒだった。


「俺が団長のムヒだ。なぜガイルを狙ったかというと、お前がスタートの町で懸賞金がかかったからだ。奴隷商人と一緒に違法奴隷売買をした。そして奴隷商人は死んだ。なぜ殺されたのか」


「殺したのは勇者パーティーだ。俺とは違う」


「違法な商売をしていたのだろ。勇者パーティーから狙われるくらいだ。店の奴隷商人ケアズは勇者パーティーに殺されたとして、不思議なことに勇者パーティーは近くの町で死体となって発見された。死体は騎士団が保管している。そして奴隷商人ケアズと関係があったと思われる悪貴族のガイルが消えた。当然に騎士団は怪しんでいるってわけだ。だからガイルを騎士団に届ければ懸賞金の報酬が出る」


「なるほど、そこまで騎士団はわかっていたのか」


騎士団は奴隷商人と勇者パーティーの死体を回収していると知れた。


なぜか丁寧にムヒは話してくれるから助かる。


俺を拘束して届けるつもりらしく、金が目当てだ。


予想だがかなり高額な金額の懸賞金が設定されているな。


「よってガイルは追ってきたといわけだ。わかったか?」


「ああ、説明ありがとう。言っておくが俺は黙って拘束されるつもりはない」


「じゃあ強引に連れ去るぞ。初めに言っておく。俺達は強い。殺してしまうかもしれん。無抵抗に俺に従ったほうがいい。副団長サジ、剣士シクラは俺よりも凶暴だ。本当に殺しかねない」


「副団長サジだ。命令に従わないなら痛くしちゃうぜ」


「おいサジ。お前はいつもそうだ。殴るのが好きだからな。ガイルを殴り殺すぞ」


「ぶっそうだな」


「ガイル様を殴り殺す前に、私が副団長サジを噛み切っているがね」

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