第16話 『016 カンデラ町で薬を買う』

『016 カンデラ町で薬を買う』


ニーナが俺が過去の悪役貴族のガイルと別人のようだと感じている。


異世界から転生したのは言ってないから疑問に思うのもうなずける。


カンデラ町に行くストーリーはあったと思う。


たぶんサブストーリーだろうか


村で少女が病気になったので薬をカンデラ町へ買いに行く話は記憶にある。


勇者パーティーが死んでも、このストーリーは生きているようだ。


100も持つと大きな荷物になった。


勇者オーディナルのアイテム袋に入れる。


ゲームでは荷物を持つ重量は感じないが、今は袋は重くなった。


アイテムボックスのスキルは存在するが俺はないから欲しいスキルだ。


ニーナにもない。


せっかく遠くの町に来たので歩いてみた。


すると俺の顔を見て男が寄ってくる。


「ガイルだろ、久しぶりだな。ガイルの旦那の方から町に来るとは意外だった。ガイルの旦那のおかげでたんまりと儲けていますぜ」


 誰だこの男は? 商人っぽい服装だが。話の内容から悪役貴族ガイルの悪い仲間っぽいな。もしかして商人マージンか。ここは知っている振りをしておこう。


「そうか。どんな感じだ?」


「ええ、ガイルの旦那が出資した工場で薬の偽薬は製造できていますぜ。ご覧になってください」


「見せてくれ」


偽薬? 


ガイルは偽薬製造もかかわっていたのか。


おそらくはサブストーリーのサブストーリーだろう。


そういえば偽薬を作っていたのを勇者パーティーで不正を正すシナリオがあったような。


攻略サイトを見ないとわからないくらいの話だ。


異世界転生したので攻略サイトは見れないから、サブストーリーなどは把握できないな。


工場を見学した。


「偽薬を調合製造している作業です。働いているのは私の部下だから信頼できます」


「偽薬だとバレてはいないのは確かか」


ここをガイルが関わっていたらしい。


たぶん話からガイルが出資したと思われるが、ひどい貴族だな。


まさに悪役貴族らしい金の使い方だ。


「はい、国の組織も誰も気づいていませんですぜ」


 きっと貴族の特権を使い役所には調べさせないようにしている設定だな。


「ガイル様が買った薬は大丈夫ですか?」


「怪しいな」


ニーナから言われて、俺が金を出して買ったのも怪しくなるな。


「それは、この工場で作った薬ですぜガイルの旦那。どうして買ったのですか?」


「いや、それは、なぜかというと本当に偽薬かを俺が調べていたんだ」


「なるほど、さすが旦那です。ぬかりがない」


やはり偽薬かよ。


村に持って帰らなくて良かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る