第15話 『015 村で祝杯』
『015 村で祝杯』
「感謝します悪貴族ガイル。ありがとう村を救ってくれて。もう悪貴族とはいいません」
「あの悪の貴族ガイルが村を救ったぞ!」
「俺は当然のことをしたまでです」
本当は転移魔法が目的であって、村なんてどうでもいいのだが、感謝してくれているみたいだ。
感謝されるのはいいが、あまり有名になるのも困ったものである。
俺は国内で最も信頼されていて、有名な勇者パーティーを4人殺しちゃっているから、国王から罰を受けてもおかしくない状態になった。
まあ今のところは俺が勇者パーティーを殺したのは誰も見ていないし、知らないから平気だろう。
村の人にはこの後に美味しい食事をごちそうになった。
村が吸血魔族の苦しい生活から救われたのを記念にした食事会だった。
ニーナと一緒に美味しく食べた。
ゲームのストーリーでは勇者パーティーが祝杯の中心になるのだが、最低の悪役の俺が祝杯を受けた。
俺はただ生き残るためにやっているので、村のためにしている感覚はないけど、結果的には俺が救っている。
祝杯の中で一人の少女と親がやってきた。
「ガイルにお願いがあります。娘は病気になっているのですが、薬がありませんで、治癒できないのです。しかし村から遠いカンデラ町には薬があるそうです」
「カンデラ町ですか。確かそうとう遠いな。でも今の俺は転移魔法ができますから、行けます。薬は俺が買って村に戻ってきます」
「お願いします。娘が待っています」
「わかりました」
祝杯の食事会の途中だったが親からのお願いを聞くとなった。
転移魔法は可能だが、ゲームではストーリーと関係する町には行けるようになる便利魔法。
見てみるとカンデラ町も転移できるので、引き受けるとした。
ニーナにも伝えると食事中だったため不機嫌っぽい。
◇
「肉が残っているかな」
「肉が好きなのか?」
「はい」
「早く買って帰ればいい。薬屋に行けばあるそうだから」
カンデラ町に転移できた。
町はスタートの町や吸血魔族の村からかなり遠いから、薬が届かないということだった。
薬の原料がこの地域でしか採取できないのが原因だろう。
薬屋に行ってみると目的の薬があった。
店主に聞くと100個ほど在庫はあるとのことなので、100個全部購入した。
店主は驚いていたが、また吸血魔族の村で必要になってもいいように多目に購入した。
「ガイル様、100個も必要ですか?」
「うん、また必要になっても100個あれば困らないだろう」
「悪貴族で有名なガイル様らしくない。なぜ悪貴族なのですか。別人のように感じる」
「俺は単に生き残りたいだけさ」
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