第12話 『012 魔族の山の村』

『012 魔族の山の村』


確かに俺がプレイヤーだった時もそんな話しはあった気がする。


その有名なパーティーは知らんが。


「俺が討伐します。これから山に登ります」


「無理でしょう。しかも2人ではとても足りません。死にに行くようなものです」


「食い殺すぞ、じじい」


「えっ!」


「ニーナ、下がりなさい」


 ニーナは性格が凶暴になる時があるので注意だな。


「はい」


「でも魔族に酷いことをされているのでしょう?」


「はい、魔族は吸血魔族です。吸血魔族は村の人の生き血を吸っている。貧血になってしまい、生活ができない人もいる。しかし逆らうと吸血ではなくて殺される」


「酷い魔族です、ガイル様」


「なおさら討伐するしかない。俺がアモンを討伐する」


「気をつけてください、そしてお願いします」


村の人の話を聞いた。


ゲームでも同じだったのを思い出す。


アモンは吸血魔族だったな。


アモンを討伐すれば、人々は助かる。


勇者パーティーは村から感謝されるストーリーだった。


ただ違うのは勇者パーティーでは、悪役の貴族である俺が討伐するという点だ。


はたしてストーリーは同じなのかは俺にもわからないけども、やってみる価値はありそうだ。


報酬の転移可能は絶対に欲しいからな。


村の人に心配されて山に向かう。


「ニーナは吸血魔族を知っているかい?」


「初めて見る魔族です。私も血を吸われる。怖い」


「ニーナが吸われるかはわからない。人族だけかも知れない」


「どうしてです。私の血だって美味しいはずです。人族よりも美味しい」


山に入る途中だった。


いきなりニーナに襲いかかる魔族が来た。


「ぐへへへ、美味しそうな女だな。吸ってやるよ」


「ううううう」


「逃げろニーナ!」


「大丈夫ですガイル様。私にお任せを。吸血魔族さん、私の血はどうですか?」


「ぐぐぐ、吸ってやる、うん、美味い。やはり人族の女の血は最高だ」


「失礼な。私は人族じゃないですが。魔狼族です」


「なに! 魔狼族! ぐええええええ、汚ねえ血だああ!」


 あ、血を吐き出した。ニーナの血は不味いのか。


「なんて失礼な魔族だ。もっと吸えよ!!」


「ぎゃああああ!」


ニーナは狼の姿に変身して血を吐き出した魔族を食いちぎる。


吸血魔族よりもニーナの方が怖いな。

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