第10話 『010 ニーナが仲間になる』

『010 ニーナが仲間になる』


酒場の外の暗い通りだったから人はいない。


通りで姿を変身させ狼の姿だった。


この姿は魔狼族か。


魔狼族は素早さがあり、鋭い爪と牙がある。


冒険者を一瞬で殺せるとも聞く。


腕輪によって誰かに制御されていたのを俺が開放した。


さっそく戦闘になった。


魔狼族のニーナは素早い。


ゲームでも見ていたが実際はもっと速く感じる。


俺の体に爪を当てる。


服は切られてしまう。


流血も起きる。


強いな。


魔剣ライゼンがなければ即死する強さだろうが、ライゼンで切りかえす。


すると結果は魔狼族は動けなくなった。


「ああああ、悔しい」


「腕輪は獣になるのを制御していたものか?」


「はい。あなた強い。なぜそんなに強いのよ」


「俺は悪い貴族だが、生き残りたいんでな。強くなった」


「ひとおもいに私を殺せ」


ニーナは死を覚悟したらしい。


しかし俺はさっきの勇者パーティーとは違った。


勇者パーティー3人は殺したが、ニーナは殺そうという気持ちがなかった。


むしろ惜しいとさえ思う。


勇者パーティー3人は生かしたら俺のことが国中に知れ渡る。


だから殺すしか選択肢はない。


逆にニーナは俺のことを広める危険性は皆無だろうと思えた。


別に俺に危害はなければ殺す必要はないな。


単に俺が弱いと思っただけだろう。


今はおとなしい狼でしかない。


「ニーナは俺と一緒に来るか?」


「えええ? 私があなたと一緒に行動しろと。よろしくお願いします。ニーナはおともします」


「わかった。俺と仲間だ」


予定にはないがニーナは仲間となった。


強さは俺の破れた服からわかる。


勇者パーティーよりも格上だ。


だが仲間になったからには俺の話をしなくていけない。


隠し事はよくないから、勇者オーディナルにダンジョンで襲われて殺したこと、ダンジョンの付近で勇者パーティーとも出会い、3人を殺したことも話した。


ニーナは勇者オーディナルに助けられたと思っていたから、驚いていた。


逆になぜ腕輪をしていたのかと聞くと、まだ子どもの時だったから、逆らえなかったらしい。


人族に子供時代から奴隷とされた過去があった。


まあそれをやった主犯は俺だがな。


正確には俺のキャラがやらかした。


話を聞いていてガイルがいかにクズ野郎かが伝わった。


俺はクズの悪役貴族だが、ニーナは仲間だと言う。


それは俺が強いかららしい。


魔狼族は自分よりも強い者は、それだけで認める習性があるとか。

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