2 いわゆる神と会うやつ
雲の上に倒れていた。手にはリードがあってヴィネガーもいる。寝心地は布団を凌ぐふんわりとした感じかと思いきや、学校の体育館のような冷たさと固さである。
「僕は神様です。ここは天界です、あなたは勇者に選ばれました。怪獣が発生した異世界を守っていただきたい。英雄になってほしい。最も勇者に選ばれなければ今頃事故でお二方とも無事ではなかったと思いますが」
八雲は起き上がる。神様とは? じっくり見てみる。
八雲よりも頭一つ以上高い身長。水色の髪、後ろで紐に纏めてある。右目の下に泣きぼくろ。真っ白なキトーンを着ていて筋肉質な腕がしっかり見える。服がゆったりとしているからか胸筋の力強さが浮かび上がっている。
「わあ、私のタイプかも。年上な男性って感じで。神様だと年齢とか人間の尺で計れないでしょうけど?」
「年齢は数えてませんねえ。勇者を選ぶ任務はもう二千年はしてます。一つ前の仕事は窓際族? というものをしていました。周りからは何もしないでくれそこにいてくれるだけでいいと何度もお願いされてしまって。神冥利に尽きますよね!」
神様は屈託なき笑顔を見せる。
「あ、ごめんなさい、私には神々しすぎました。タイプなんて失礼でした」
八雲は死んだ目で言う。
「ではそろそろ送ります!」
神様は指を鳴らして雲の彼方を指差す。演出なのか後光が差す。眩しい、今すぐやめてほしい。光を消してもらえるかは怪しいが。
「勇者様、世界を救ってください。もちろんステータスも最高レベル、スキルも魔法も盛りましたから。思う存分暴れてこい!」
「送り方雑だしほんとに顔だけみたいね。ふふ、こういう展開はこの八雲様にお任せ。私、一度くらい英雄になりたかったのよね」
「ワン!」
「ヴィネガーちゃん、私の家族で良かったわね。私の忠犬でいてくれたらあなたの銅像も作ってもらいましょう! むふふふふふふふふっ」
ヴィネガーはのそのそと神様から離れていく。神様の話しに興味がないらしい。
(ヴィネガーちゃんからすれば変な格好の顔だけイケメンなんて興味ないか)
「異世界に着いたら優先すべきはステータスを確認すること。ステータスオープンと叫びなさい、きっとイージーゲームですから」
八雲とヴィネガーは光に包まれる。目を覚ますと背の高い草が繁茂する森の中であった。
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