トラック3:洋館で読書をする音を録ろう!【静かなお屋敷、木々の揺れる音、ページをめくる音、寝息、寝言】

(場所:洋館の廊下)

(位置:右、近い)

(SE:足音、木の床を歩く音、ふたり分、カーペットの上、続ける)

(声:図書館のように静かな喋り方をする、トラック終わりまで)


(うっとりした声で)

キレイなお屋敷だよね。

こういうところ住んでみたいって思ったことない?

周囲の音で悩まないし、

雰囲気もいいし、都心へのアクセスもいいし、

家賃とか土地代っていう現実さえ見なければ最高。


(位置:正面、中距離)


(自慢げな声で)

静かなのにどんな音を録るのかって?

ここから聞こえる音だよ。

今日は特別にバルコニーを借りるんだ。

(SE止め:足音ここまで)


(SE:ゆっくりドアを開ける音)

(SE:草木が風で揺れる音、ランダムで続ける、トラック終わりまで)

(SE:足音、木の床の上を歩く、ゆっくり、数歩で止める)


(位置:正面、近く)


(おだやかな声で)

ここで耳を澄ませて……。さささ……。


(SE:草木が風で揺れる音、少し大きく)


(少し自慢げな声で)

って草木の揺れる音がいいでしょ?

録るのは環境音だけじゃないよ。

廊下を歩いてるときに見たと思うけど、

ここはいわゆる文学館。

国語の教科書に載るような小説を書いた

有名な作家さんたちにまつわる資料とかが

見られる場所だよ。だから……、


(SE:バッグを漁る音)

(SE:本のページをめくる音)


(おだやかな声で)

ぱらぱらぱら……。

ページをめくる音と相性いいかなって思ったの。


(自慢げな声で)

これ? 『夏目漱石』先生の『こころ』。

普段こういうのは読まないけど、

電子書籍じゃ音がでないから用意してみたんだ。

読書用じゃなくて小道具扱いなのは

ちょっと悪い気がするけどね。

一日じゃ読めないけど、

収録終わったあとも続きをちゃんと読むつもりだよ。


(ぼそっとつぶやく)

……途中で寝ちゃうかもしれないけど。


(5秒ほど息づかい。間抜けな間ができる)


(明るい声で)

さ、場所をお借りできる時間も、

今日の収録時間も限られてるし、

変なこと言ってないで準備しないと。いそいそ……。

(SE:ジッパーを開ける音、マイクスタンドを出す)

(SE:金属の棒が擦れる音など、マイクスタンドを組み立てる)

ほいほいほい……とん。

(SE:アタッシェケースを開ける音、カチッとロックを外す、二回)

はい、頭だよ。ふふっ、子供のヒーローみたいだね。

また変なこと言うと大声で笑いそう、くすくす……。

(SE:プラスチック同士がぶつかる音、ゴム製品同士がぶつかる音、軽く、雑にがさがさ)

キミも本を一冊持ってきてほしいって頼んだけど、

どんな本を持ってきたのかな?



(おどろいた声で)

わぁ、そんなすごいの読んでるんだ……。


(少し自信なさげな声で)

あとで見せて……なんて

イチャイチャできないじゃんもぉ。

ううん、知的なキミもかっこいいよ♡


(自慢げな声で)

はい、準備完了♪


(はしゃいだ声で)

わたしはキミの隣、キミはマイクの前でページを捲ってね。

ページを捲る音が自然になるように、

本当に読み進めてほしいな。


(SE:イスを動かす音、静かに)


(位置:右、近い)


(SE:本のページをめくる音)


(色っぽい声で)

マイクいれるよ……。


(はしゃいだ声で、収録のための演技)

キレイなお庭でしょ~。

バラが咲いてて文字通り華やか~。

ほら遠くも見てよ。海も眺められるなんて、

すごいよねここ。


(おだやかな声で)

それでいて静かで、落ち着いてて、

たまには賑やかでもなく、ダラダラでもない、

知的でおだやかなデートもいいかなって。


(やさしい声で)

いっしょにいる時間を読書で過ごしていいのかって?

もちろんだよ。

キミといる時間はどんな時間も大切で、たのしいもん♪


(自慢げな声で)

それに、本は人生を豊かにしてくれる

って聞いたことあるよ?

ならこういう機会に挑戦してみないとね。


(少し自信のない声で)

読み慣れてないから、難しいかもだけど、

キミとならできると思う……、うん。


(10秒ほど息づかい、ゆったりと、寝息のような感じ)

(SE:本をめくる音、ふたり分、ひとりはゆっくり、ひとりは慣れた感じで一定に、続ける)


(少し眠い声で)

うとうと……。

しっかり字を読むのって、眠くなるね……。

SNSとかブログはあんなにすらすら読めるのに、

なにが違うんだろう。


(10秒ほど息づかい、ほぼ寝息)


(眠い声で)

今日持ってきた『夏目漱石』先生の『こころ』は、

国語の授業で習ったから、

だいたいわかってたつもりだったのに、

思ったより難しい……。

こくり、こくり……。

こてん。(ここで寝てしまう)


(10秒ほど息づかい、ほぼ寝息)

(SE止め:本の音ここまで)


すやすや……すやすや……。(寝息のオノマトペ)


(10秒ほど息づかい、ほぼ寝息)

(SE:布がこすれる音。『キミ』が軽く揺さって起こそうとする)


(少し慌てた声で、寝言)

あれ、配信告知したっけ……?

出演依頼の連絡返して……、

でもこの日はダメ……、デートと収録……。


(10秒ほど息づかい、寝息)


(申し訳ない声で、寝言)

どっちつかずになっちゃう……。

ごめんね。こんなふうにスケジューリングしなきゃ、

ふたりで遠出が難しい。

配信もいっぱいしたいの……。


(10秒ほど息づかい、寝息)


(やさしい声で、寝言)

だって、みんなのこと癒やしたいから……。


(10秒ほど息づかい、寝息)

(SE:本が床に落ちる音)


(はっと気がついて)

はっ? キョロキョロ……。


(照れた声で)

ねぇ、もしかして、わたし、寝てた?

あ~、えへへへ。

お見苦しいところをお見せしました……。


(うっとりした声で)

わたしってば、マイクに頭をぶつけそうだった?

止めてくれたんだ。ありがと。


(照れた声で)

まあ、これはこれで安眠ASMRになりそうだし、

よしとしましょ~。

マイク切りっと……。

音声作品に編集するときは、

キミの声をカットするからそこは安心して?


(気づかう声で)

あ、ちょっと言い方よくない。

海で録った音と同じで、

生データはもちろんとっておくよ。


(照れた声で)

だって、キミと過ごした時間の音だもん。

販売はできないし、

キミの声はわたしが独り占めしたいから……♡


(SE:本を閉じる音)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る