千平美月は面倒くさい!
「旭と一緒に【サルタ】になれるなんて、嬉しくて泣けてくる……うう……」
「はいはい、
「
「うるさいわね、
「……」
そうだった……この三人と同期になるんだった。まぁ、知り合いがいるのは、ありがたい。
だけど、【アサヒノカミ】なんて呼ばれるのは、まずい。名前に神をつけるなんて恥ずかしいし、調子に乗ってると他の【サルタ】もしくは【ヤチホコ】に目をつけられたら。スローにライフを過ごすなんて夢のまた夢。
ただでさえ戦争に参加するんだ。あまり目立つ行動はしないほうがいい。
こうも三人がべったりだと目立つんだよなぁ……とにかく、【アサヒノカミ】だけはやめさせないと。
朝の【薄明の刻】は阿木の手伝いをし、早く終わるとレイメイに会っている。基本的に、レイメイとがっつり会えるのは夕刻の薄明だ。
こっちに来ての旭は、かなり忙しい。本人はスローライフなんて言ってるがスケジュールはいっぱいだ。
[暁月家→阿木診療所→レイメイ(時間があれば)→軍に参加→レイメイ→暁月家]
だが、旭にとって夕刻の【薄明の刻】が一番の楽しみであり、それがあるから頑張れる。そんな感じだ。
今日から【サルタ】として軍へと入隊し、訓練を行う。クロズミ城に来たのもそれが理由だ。
クロズミ城といっても城の中に入っているわけではなく、広大な敷地内にいるという感じだな。
この広場に集められた新入隊の【サルタ】たち、知った顔も何人かいる。知った顔といっても、前の世界での話だけど……同級生、もともと、友達が多いほうではなかったから顔を知ってる程度だけど。
「ちょっとそこ邪魔よ!一箇所に集まらないでくれる!」
ハァ……こっちでも絡んでくるのか、
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
「ちょっと、
矢取り……射場で放たれた矢を回収すること。
部活などでは、入部したばかりの後輩などが、矢を集めたりする事は多いが、
「いや、俺はまだ
「アタシはいいのよ!それに、結城の矢取りなんかしたくないわよ!」
「俺のはいいから、他の人の矢取りをしたらいいだろ?」
「ハァ?なんでアタシが、自分より下手な人の矢取りなんか、しないといけないのよ!」
「ふぅ……じゃあ、代わろうか」
「何よ!その、やれやれ、みたいな感じ!俺は大人だから代わってあげるぅ、みたいな感じ出されたら、アタシがやりにくいじゃない!」
えぇ?面倒くさいヤツだなぁ。どうしたいんだよコイツ……
「勝負しなさい!」
「またか……」
「何よ!またかって!この間、もう俺が勝っただろぅ、とか思ってるんじゃないでしょうね!?たった一回の勝負で、アタシに勝った気にならないでよね!」
「……わかった、みんなの邪魔にならないように「
「ふん、アタシがすぐに外すとでも?」
「そうだな……たしかに、長くなりそうだな。お前の的中率は高いから」
「――な!そんな褒めても手加減しないんだからね!」
「いや、褒めてるというか事実を言ってるだけで……」
「ふぅ〜ん、あっそう!そんなにアタシのことを高く評価してるんだ!いい心がけね。まっ、それがたとえ、負けた時の言い訳だとしてもね!」
ウザいわぁ……なんか、いちいち決めつけつるんだよなぁ、コイツ。
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「くっ……
「いや、思ってないけど。むしろ綺麗な射技だと思ってるよ」
「――な!き……き……綺麗って……そんなの結城に言われたって、嬉しくないんだからね!」
「ただ、「
「そんなの、わかってるわよ!アンタが怪我でいない間にアタシが天才だって、注目されてたのが気に入らないんでしょ!……良かったわね、勝負に勝って上から目線で指導出来て!……さぞ、気持ちのいい優越感でしょうね!」
「……」
はぁ……
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
「すみません、邪魔ですよね。
旭は、小さな少女に会釈する。やっぱり
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