第7話 訪問者

「早く開けてよ、全くー。 結局 お父さんの遺言書は、出てこないんでしょ!法律通り 私の分け前を貰いにきたの里美さん、いいでしょ!」


派手なショッキングピンクの柄の入ったワンピースを着た暑化粧の女は、ソファーに勢いよく座りそう言った。


里美「百合香ちゃん お父様の一周忌までは その話は よしましょう」

女「百合香さんにしてくれない」…

女「百合香ちゃんって 子供じゃないのよ 私」 


里美「ごめんなさい百合香さん」

女「もう 良いでしょう お父さんも 死んだんだし これ以上待つ意味ないじゃ無い」 


すると 又玄関の呼び鈴が鳴った。


サングラスをかけ アロハシャツを着た 頭の切れが悪そうな、常識やらあって無いような男が入って来てソファーに座った。


男「ねーさん来てだんだ。俺さ 今度 仲間とつるんで 会社作るんだ。金がいるから 父さんの財産の分け前貰いに来たんだ」 

女「あんた又? 前の会社倒産したばっかりじゃない!まーいいわ、丁度良かったわ、2人揃ったところで」女は、組んでた足を組み替えた。


男「じゃーねーさんもかよ!」

女「他に なんの様が この家に あるのよ!」

男「そうだな 里美さんよ 早めに頼むわ 用立てしてくんない。」


女「用立てじゃないわよ しっかりしなさい!私達の取り分なんだから 当たり前の額を里美さんから 先に準備して 私達を 御招きするのがすじじゃないかしら、なんで私達が 借金取りみたいに こう何度も来なきゃならないの、失礼しちゃうわ」

男「そうだな ねーさん」 


里美「ごめんなさいね そうね 弁護士さんに,相談して至急ご準備させてもらうわね」


女「お願いしますよ さ、と、み、さん‼︎

ほんと 失礼しちゃうわ 全く!」

男「な!ねーさん しっかりしろよ!さ、と、み、さんよ」 2人は 一方的に 言うだけ言って帰って行った。


奥様が2階に 戻ってきた。

里美「ごめんなさいね 何かわかったかしら?」

すずは「今 下で 声がしてましたが お客様でしたか?」奥様は 少し間を置き


里美「お客様と 言うか 主人の子供なの 前妻さんの」

すずは「そうでしたか」

里美「主人の遺産の事で,話に来たの 遺産は ちゃんと2人には 分けるつもりよ 実の子供達だし、私と主人の間には 子供は いないから でもね 一周忌が 開けてからでも と私は 思ったのが いけなかったみたい。で あの2人が 自分達には 渡さないんじゃないか と 疑い始めたみたいなの

ただ…」


五十嵐「ただ何です?」

里美「あー金庫の中に…」

すずは「遺言書が、あるかもしれないと 奥様は 思ってるんですね!すると 取り分が 変わり 争いが 起きなければいいのに とか 思ってます?」なるほど と五十嵐は、すずはの顔を見た。


すずは「いやー普通は 遺言書があり、奥様の取り分が きっと多く書かれているのでは、と思い 金庫を開けたいものです。でも 先ほど 鍵が 見つかった と 私達が奥様に お会いした時 がっかり された様に 私には 見えました。

失礼かと思うのですが 金庫の鍵 庭に捨てたのは、奥様では ないですか?」


里美「何故お分かりになったのかしら」

すずは「それは、書斎は 今だに使われているかの様な空気感が あるからです。きっと毎日窓を開け、数時間 音楽でもかけ この部屋に 奥様は いらっしゃるのでは、ないですか?」


里美「あら…コーヒーも 必ず飲むのよ 2つ用意してね」

すずは「大好きだったんですね、ご主人の事が きっとご主人も奥様の事が 愛おしかったのでしょう。ご主人と暮らしたこの場所が 1番大事な奥様は この家で 争い事なんて嫌なはず、穏やかに過ごしたいと 思っていると感じました。」


里美「でしたら、金庫は 開けない方が…」すずは「私は 開けた方がいいかと 思います。」

里美「なぜ?」


すずは「私は 金庫にあるのは 遺言書では、無い様な気がするから。ご主人は ゲーム感覚に 金庫のナンバーのヒントを日記に隠し謎解きをする様に、しています。」


奥様の顔が 明るくなった「そ!そーなの!思い出したわ。主人は、サプライズが 大好きで 新婚の頃、私によく記念日のプレゼントを、謎を解きながら探してごらん。と言ってたわ。私は 主人の手を握り 謎を解きながらプレゼントを見つけていたの。楽しくて、楽しくて(笑)」


すずは「奥様 きっと今回も サプライズでは ないでしょうか」奥様の目が輝いた。「で その謎は、解けなの?」

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