第5話 「コスプレ」そっち?
独特なカビ臭い匂いが鼻を鈍らせた。
暗く中がよく見えない。奥様がランプに火を入れた。蔵の中は 中央に棚,端にも棚があり巻物や掛け軸、お高い骨董品が入ってそうな木の箱がずらり 綺麗に整理されていた。
その奥に 大きく古そうな金庫らしき物が見えた。奥様は指を刺し「あれです」と言った。
観音開きのレバーが2つ ダイヤルが向かって右についてあった。ダイヤルは外側の円には数字が印字してあり内側にはイロハニホヘトとカタカナで印字。文字も 合わせないといけないのか と すずはと五十嵐は お互い顔を見た。
何故か奥様は不安も無く穏やかに、ニコニコしていた。五十嵐は、ダイヤルを回してみた。錆びついてないようだ。
すずはは、猫耳を金庫にあてて ダイヤルの回る音を聞いていた。
すずは「分からん」
五十嵐「そりゃーそうでしょうよ。直ぐわかりゃー僕達いらんですわ」
すずは「奥様 部屋を見せて頂く事は できますか ご主人の書斎とかあれば是非」
奥様「主人は一年前に亡くなりましたが 書斎は手付かずで そのまま残ってるわ」と静かに答えた。
書斎は 2階にあるらしく長い廊下を又 もどり歩き、左手にある階段を上り始めた階段には 絵画が 飾られていた。
すずは「素敵な絵が沢山飾らせてますね」 奥様「えー主人の趣味でした。海外で買い付けては、飾ってたわ」
五十嵐も その絵画をじっくり見ながら 階段を上がった。一つ目の絵画は ひまわりの咲き乱れる絵だった 山の麓にひまわりが光輝き沢山咲いている。
すずは.は、確か玄関に飾っていた絵画は 何処ぞやの西洋の城の絵で やたら窓が 多い城だな と感じた事を 思い出した。
2階の廊下も長かった。今日は やたら歩く とすずは.は、思った。奥様「突き当たりが 主人の書斎よ」
これ又 鍵がある様で 鍵で開けた すずは(何故鍵をかける必要があるのだろう?)部屋の中は 今朝も ここに誰かが いた様な空気感がした。
五十嵐「ここにも絵画が ありますね 薔薇の花束の絵画」真っ赤な薔薇が どの位あるだろうか 花束になり 誰かに差し出しているような図柄だった。
奥様「自由に見ていただいて結構よ」と言った時 玄関の呼び鈴が鳴り
「いるんでしょ?開けて」と声がした途端 奥様の顔が硬直し、
奥様「窓は 開けないで」と言って書斎の入り口の戸を閉め、一階へと降りて行った。
すずはと 五十嵐2人になった。
すずは「さ!手がかりをみつけるわよ五十嵐君」 やっぱ俺は「ワトソン君だ」
どこから どう手をつけていいか 俺は 分からない。
あえて こう呼ばせてもらおう『コスプレ探偵』は 引き出しを次々開け出した。馬に乗った紳士の写真が 出て来た。
きっと ご主人だろう。乗馬が趣味だったようだ。何枚か写真があった。
すずはが「猫じゃなく 馬にするべきだったかしら」五十嵐「なにを?⁈」すずはが 頭から足先までを指先で 流すように差し、コレコレとコスプレをさした。
五十嵐は「表歩けます?馬ですよ?」
すずは「乗馬の馬でしょ!走るわ。」
五十嵐「そうじゃなく、あーもういいです。俺は、猫までは ゆるせますが 馬は 一緒に歩きません!」
すずは「五十嵐君、なーに カリカリしてんの?」馬?五十嵐は 馬を想像した。頭の上に あのでかい 定番の馬の顔の作り物をつけて 体は茶色の馬の衣装?いや!顔の鼻と口のところに馬のあの突き出た感じの口と鼻をつけて 毛並みのいい尻尾と 馬の耳なのか?いやーどちらにせよ 猫まではいい として
『コスプレ探偵』が、やっぱ精神科に 連れて行かれるかもしれない。俺がここで、冷静に成らなくては,怒ってしまうと 逆効果だ。優しく穏やかに止めないと。
五十嵐「やーすずはさん 馬は やめといた方がー…」
すずは「今流行りの馬娘 可愛いじゃなーい!」
五十嵐「あーそっちね」 何故か 納得してしまう五十嵐自身が 怖くなった五十嵐だった。
すずは「さー仕事仕事」「やっぱり馬だったなー。馬…」とぶつぶつと呟いていた、すずはの眼差しは、いつもの様に 真剣だった。
五十嵐が(このコスプレ探偵が〜〜)と呆れていたのは、言うまでも無いことだ。
すずはが、鍵穴のある 引き出しを開けた時 手帳が入っていた。
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