第4話 入学式と、グループ分け。
「諸君、ようこそ伊邪那美学園高校へ。私がこの学校の学園長を務める、天水詠美だ。以後、お見知りおきを。」
厳かな雰囲気の中、ホールに学園長の声が響く。
四月一日。今日は伊邪那美学園入学式と、クラスメイトとの顔合わせの予定。
入学式といっても、18人しかいない(これでも、例年よりは多い方である。)
ので、普通の学校の一クラスにも満たないのだが。
「諸君は、この学校で力を身に着けると同時に、交流等を通じて、精神も鍛えていってほしい。社会に出てからのコネクションを作れるのも、才能が集まるこの学校の魅力だ。なんにせよ、三年間頑張ってくれたまえ。……それでは私の話はもう終わりにして、君たちが過ごすことになる教室に移動しよう。修練場などの案内は、また明日以降にやっていく。今日は、クラスメイトとあいさつを済ませてほしい。それでは、伊邪那美学園高校入学式を、これにて終了する。それでは、解散!」
その言葉を皮切りに、同級生がぞろぞろと席を立っていく。
─あの校長、声を聴いて分かった。神の恩恵を得ているよ。
(え、それ本当か?)
─といっても、君のように現人神の器というわけではない。生まれつき、神の意志をくみ取るのにたけているタイプだ。イタコとか、シャーマンの部類だね。
へぇ。神の力を使うといっても、いろいろあるのか。
人間に干渉している神はゼウスだけだと思っていただけに、結構衝撃の事実だった。
─さぁ、僕たちも早く教室に戻ろうか。
おっと、そうだった。果たして、クラスメイトはどんな人たちなんだろう。強い魔法使いは変人が多いだけに、少し不安である。
─神の力を扱ってピンピンしている君も、大分変人だと思うけどね……
そういった神の呟きは、玄春の耳に入ることはなかった。
ホールから移動し、綺麗な教室に移動する。
「こんにちは、新入生の皆さん。君たちの担任を務める、三神零です。初めての担任ですが、よろしくお願いします。」
(良かった、担任は怖い人じゃなさそうだ。)
少し緊張がほぐれた。周りからも、安堵の息が漏れる。どんなに強い魔法使いでも、怖い教師は苦手みたいだ。
「それでは、出欠と、出席番号の確認をします。名前を呼ばれたら、返事をしてください。まずは、安曇小夜(あずみ さよ)さん。」
「伊集院春(いじゅういん はる)君。」
「尾瀬壮太(おぜ そうた)君。」
「風見玄春(かざみ くろはる)君。」
「城崎陵(きのさき りょう)君。」
「狛江琴葉(こまえ ことは)さん。」
「西園寺舞子(さいおんじ まいこ)さん。」
「東雲風香(しののめ ふうか)さん。」
「染井弘毅(そめい こうき)君。」
「小鳥遊仁(たかなし じん)君。」
「鳥海志乃(とりうみ しの)さん。」
「七瀬優(ななせ ゆう)さん。」
「日野隆哉(ひの たかや)君。」
「穂井田寛治(ほいだ かんじ)君。」
「水無瀬結月(みなせ ゆづき)さん。」
「和布浦源次(めうら げんじ)君。」
「弥生梨恵(やよい りえ)さん。」
「若槻 吾郎(わかつき ごろう)君。以上、男子10名、女子8名、計18名。早速だけど、君たちには、AからFまでの、6つのグループに分かれてもらう。このくじの中に入ってた数字で、集まって自己紹介をすること。それでは、出席番号順に引いてね。」
皆が一列に並びながら、くじを引いていく。俺のくじに書いてあったのは……Cだった。
どこに集まればいいか、辺りを見回してみる。
「お~い、Cの人、こっちに集まって!
声がした方に行くと、大柄で、顔に少し傷がある男子と、白髪で綺麗な女子がいた。
大柄な男子が、口を開く。
「おう、Cグループがそろったか。俺の名前は染井弘毅だ。よろしくな!」
続いて、白髪の女子が口を開く。
「私の名前は、水無瀬結月。よろしくお願いします。」
見た目の通り、鈴のようなきれいな声だった。
最後に、俺。
「俺の名前は風見玄春。これからよろしく。」
全員が、一通り自己紹介を終えた。ほかの所も自己紹介を終えたみたいで、辺りは静まっている。
「君たちには、基本的に3人のグループで任務や、修練に当たってもらうよ。仲良くするように。
さて、これからすることだけど……早速、魔物の討伐任務を行ってもらうよ。と、言っても簡単なものだから、安心していい。でも、油断はしないように。行先のギルドは君たちの学校支給の端末に乗っているから、現地集合で。ギルドに着いたら、マスターとかが案内してくれるよ。本当は学校設備の紹介とかをしたかったんだけど、任務を終わらせた後になる。それじゃあ、武運を祈ってるよ。」
どうやら、いきなりギルドに参加させられるらしい。しかも、魔物の討伐任務。
入学から、いきなりスパルタである。
「とりあえず、雑談とかは明日以降にしよう。今日は、学食とかも使えないみたいだしな。」
そう言って、染井は帰っていった。俺も教室を出て、部屋に帰ろうとしたところで……水瀬さんに、呼び止められた。
「ちょっと待ってください。」
「?何?」
もしかして、入学早々カツアゲ?いやいや、そんなことあり得ない。多分、明日よろしくねとか、そういうのだろう……
「あなたの体、何か特別なものを宿してますか?」
「ッ!?そ、そんなことないよ」
何と、体にゼウスを宿していることを水無瀬に見抜かれてしまった。予想外の水瀬の発言に、明らかに怪しい動きをしながら、玄春は誤魔化そうとする。しかし、水無瀬には通用しない。まっすぐこちらを見つめながら、また問いかけてくる。
「嘘、つかなくていいですよ。私は生まれつき目が特別なんです。だから、人の体に流れてる、魔力の量がわかる。でも、あなたは何かがおかしい。普通の魔力と、強烈な魔力が混在している。」
「……いやぁ、まさか見抜かれるとは。」
「私も、こんな事びっくりです。あなたみたいな人、今まで見たことありませんから。でも、どうしてそんなことになっているんですか?」
「それは、言えない」
「?……どうして?」
「そういう決まり……というか、人に言うと不味いことなんだよ。人に知られて嬉しいもんじゃないし、事情があって言えない。」
「そうですか……では、仕方がないですね。それでは、また明日頑張りましょう。」
そういって、水瀬さんは女子寮の方向へ向かっていった。
─まさか、入学初日に見抜かれるとはね……
ゼウスが感嘆の声を漏らす。
─神の魔力を見抜けるほど目がいい人間は過去にもいたけど、まさか、こんな所にいるなんて。
「俺も予想外だよ、まさか同じクラスにそんな人がいるなんてさ……しかも、おんなじグループ。」
─別に、知られて困るもんじゃないけどね。
「俺の立場が危ういんだよ。」
入学初日からゼウスの存在を見抜かれるという予想外の事態。果たしてこの先、やっていけるのだろうか。
これまで考えたことのなかった不安が、襲い掛かってくる。
─こらこら、入学初日からそんなんでどうするのさ。
「そ、そうだな。明日も早いし、今は部屋に戻ろう。」
明日の任務に備えて、早く休むことにした……
ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。
本作はパロディを多く含むため、了承して楽しめる方のみ読んでいただけると幸いです。
また応援コメントや★、フォローなど大変励みになりますので、是非お願いします。
それではよろしくお願いします!
また、今回のお話は合宿等の疲れで話の起承転結などに違和感があったため、後から修正させていただきました。今後もあると思いますので、ご理解の程よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます