第10話 あんたって首筋が弱いのね。

(車が通る音)

(人の行き交う音や声)


「その、私たち。付き合ったんだよね?」


(頷く主人公)


「うぅ、まだ泣きそう」


(ハンカチで千歳の目を拭く主人公)


「ありがとう。さっきからごめんね。やっぱりまだ実感がなくて」


「ふふっ、あんたも同じなのね。それもそうよね。まさか幼馴染と付き合うことになるって思わなかったと思うし。まぁ、私はあんたとずっと居るって思ってたけどね」


「本当よ。片思い歴をなめないで欲しいわ」


「ふふふっ」


(主人公の手を掴む千歳)


「さっそろそろ行きましょうか。ねぇ、今日はお祝いしない? 私たちが付き合った記念にどっか呑んで行きましょうよ」


「べ、別に大丈夫よ! 化粧が崩れても直せばいいんだし」


(頷く主人公)


「そ、そのままでも可愛いって、いっいきなり言わないでよ。心臓がもたないんだから」


「もう、からかわないで! ほら行くわよ」


(先に歩く千歳)

(それを追いかける主人公)


(2人の足音)



(1人の足音)

(主人公の耳元で話す千歳)


「うーん、お祝いだからって結構飲んじゃったわ。おぶってくれてありがとうね」


(首を横に振る主人公)


「重くない? 大丈夫? ……それなら、よかった。無理させてるんじゃないかって、心配だったから」


「ふふっ逞しいわね。逞しくて、それに……」


(主人公の首元に顔を埋める千歳)


「くすぐったい? でも、ちょっとだけ許して欲しいわ。なんだか、ここに顔を埋めていると安心できるから」


「あんたって、ここが弱かったのね。なにがって、首筋よ。さっきからピクピクしてるわ」


(さらに顔を首筋に埋める千歳)


「……」


「別に悪いことを考えてないわよ。あんたに少しちょっかいかけようなんて」


「もう、疑い深いんだから……ちゅっ」


(慌てて、振り返る主人公)


「びっくりしちゃった? キスしたくなってしちゃったからしちゃった」


「別に酔っ払ってないわよ、シラフよ。シラフ」


「もう、そんなに言うんだったらこうしてやるんだから! はむっ」


(主人公の首筋に口を這わせる千歳)


「んちゅっ、んっん! はぁっんっ」


「ふふっ、顔真っ赤。体がプルプルしてる。さて、家まで私を落とさずどれくらい我慢できるかしら?」


「んっん、ちゅっ、んんん……ちゅっ、ちゅっ」


「少し汗かいてきたわね、しょっぱい。でも、この味嫌いじゃないわ」


(少し間をあけてから)


「ねぇ、もう少し舐めてもいい?」


「だって、あんたの反応見るの楽しいんだもん、このまま見ていたいわ」


「それに、あんたも嫌いじゃないでしょ?」



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