第10話 あんたって首筋が弱いのね。
(車が通る音)
(人の行き交う音や声)
「その、私たち。付き合ったんだよね?」
(頷く主人公)
「うぅ、まだ泣きそう」
(ハンカチで千歳の目を拭く主人公)
「ありがとう。さっきからごめんね。やっぱりまだ実感がなくて」
「ふふっ、あんたも同じなのね。それもそうよね。まさか幼馴染と付き合うことになるって思わなかったと思うし。まぁ、私はあんたとずっと居るって思ってたけどね」
「本当よ。片思い歴をなめないで欲しいわ」
「ふふふっ」
(主人公の手を掴む千歳)
「さっそろそろ行きましょうか。ねぇ、今日はお祝いしない? 私たちが付き合った記念にどっか呑んで行きましょうよ」
「べ、別に大丈夫よ! 化粧が崩れても直せばいいんだし」
(頷く主人公)
「そ、そのままでも可愛いって、いっいきなり言わないでよ。心臓がもたないんだから」
「もう、からかわないで! ほら行くわよ」
(先に歩く千歳)
(それを追いかける主人公)
(2人の足音)
*
(1人の足音)
(主人公の耳元で話す千歳)
「うーん、お祝いだからって結構飲んじゃったわ。おぶってくれてありがとうね」
(首を横に振る主人公)
「重くない? 大丈夫? ……それなら、よかった。無理させてるんじゃないかって、心配だったから」
「ふふっ逞しいわね。逞しくて、それに……」
(主人公の首元に顔を埋める千歳)
「くすぐったい? でも、ちょっとだけ許して欲しいわ。なんだか、ここに顔を埋めていると安心できるから」
「あんたって、ここが弱かったのね。なにがって、首筋よ。さっきからピクピクしてるわ」
(さらに顔を首筋に埋める千歳)
「……」
「別に悪いことを考えてないわよ。あんたに少しちょっかいかけようなんて」
「もう、疑い深いんだから……ちゅっ」
(慌てて、振り返る主人公)
「びっくりしちゃった? キスしたくなってしちゃったからしちゃった」
「別に酔っ払ってないわよ、シラフよ。シラフ」
「もう、そんなに言うんだったらこうしてやるんだから! はむっ」
(主人公の首筋に口を這わせる千歳)
「んちゅっ、んっん! はぁっんっ」
「ふふっ、顔真っ赤。体がプルプルしてる。さて、家まで私を落とさずどれくらい我慢できるかしら?」
「んっん、ちゅっ、んんん……ちゅっ、ちゅっ」
「少し汗かいてきたわね、しょっぱい。でも、この味嫌いじゃないわ」
(少し間をあけてから)
「ねぇ、もう少し舐めてもいい?」
「だって、あんたの反応見るの楽しいんだもん、このまま見ていたいわ」
「それに、あんたも嫌いじゃないでしょ?」
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