第9話 大好き、誰よりも
(千歳が走ってくる音)
「お待たせ。今日も待たせちゃったわね」
(首を横に振る主人公)
(主人公の手を触る千歳)
「嘘。だってこんなに手が冷たくなってるんだもん」
「ふふっバレてるわよ。あんたのことだもん。気づくわ」
「さっ行きましょう。せっかくだから2人で飲みに行くのはどう?」
(主人公、頷く)
「……なら、迷子にならないように手を繋ぎましょ」
(主人公、首を横に振る)
「人混みじゃないのに手を繋ぐ必要はないんじゃないかって? そんなの、建前に決まってるじゃない」
(千歳、主人公の手を握る)
(歩き出す千歳)
「もぅ、気づいてよ。ばか」
(主人公、立ち止まる)
「わわっ、どうしたの? いきなり立ち止まって」
「えっ? 私に言いたいことがある? 一体なに」
(少し間が空いてから)
「俺はお前が……」
(別の足音が聞こえてくる)
「……えっと、どちら様ですか?」
「あぁ、彼の元同僚の方なんですね。彼からよく話は聞いていますよ」
「ふーん、彼じゃなくあなたと飲まないかって話ですか。なるほど……」
「お断りさせていただきます」
(たじろぐ相手)
(千歳、怒る)
「なんでって? そんなの決まってるじゃないですか。あなたよりも彼の方が魅力的だからです」
「ふんっあなたのどこが魅力的なんですか。彼に嫌がらせをしていたんでしょ?」
「大方彼に嫉妬して、嫌がらせをしてきたんじゃないんですか?」
「もう彼に絡まないで! 彼はあんたなんかに時間を割いている余裕なんてないんだから!!」
(千歳、主人公の手を掴む)
(千歳と主人公、去る)
「行きましょう。こんなやつ放っておいてもいいわ」
*
(車の音や人の話す声が聞こえてくる)
「ふぅ、まさかあんな所であんたの同僚と会うなんて思わなかったわね」
「お礼? 言わなくても大丈夫よ。だってあんたからあの男の話を聞いた時から私、腹が立っていたんだから。言いたいこと言えてスッキリしたわ」
「それでも嬉しかったからか、そっか」
(少し間が空いてから)
(主人公立ち止まる)
「ん? 何、どうかしたの?」
「俺のことどう思っているかって? そんなの決まってるじゃない。私は昔からあんたのことが大好きよ。もちろんライクじゃないわ、恋人になりたいラブの方」
「……大好き、誰よりも」
(主人公、告白する)
「! まさかあんたから好きって言ってもらえるなんて。すごく嬉しい」
(泣き出す千歳)
「本当に大好きだったから……うぅ」
「な、泣いちゃうに決まってるじゃない! ず、ずっとこの瞬間を待ち望んでいたんだからぁ」
(主人公に抱きつく千歳)
「好き、大好きよ。私と付き合ってください」
(少し間を開けて)
「これからもずっと一緒に居てね」
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