第4話 最後までやらせて欲しいわ


(パソコンのキーボードを打つ主人公)

(背後から聞こえてくる足音)


「だーれだ」


(服が擦れる音)


「だーれだ」


「ふふっ正解。千歳よ。よくわかったわね」


「えっ? 2人しか居ないんだから千歳しかありえない? もぅ、そこは「千歳だな」だけでいいの! 一言余計」


(再びパソコンのキーボードを打つ主人公)


「あっ無視しないでよ!」


(無視してキーボードを打つ)


「ねぇ?」


「ねぇったら」


(キーボードを打つ音)


「むぅ、そっちがその気ならえいっ!」


(背後から抱きついてくる千歳)


「はぁ? いきなり抱きつくなって? こうでもしないとあんたを止まらないでしょ?」


「もぅ、一体何時だと思ってるの? 夜中の3時よ。夢のために勉強するのはいいけど、体がもたないわよ?」


「分かったって本当に? 信用してもいいのね」


(頷く主人公)


「じゃあ、あんたの言葉信じてあげる。だから、もう早く寝なさい」


(少し間をあけてから)


「えっ? 離れてくれないと眠れないから離れろって? やだ、私気に入っちゃったもん。あんたに抱きつくの」


(主人公の背中に顔をスリスリする千歳)


「……ふふっ、あなたの背中ってこんなにたくましかったのね」


(主人公の背中に手を滑らせる)


「ガッチリしていて、固い。少し筋肉がついているのね」


(服が擦れる音)


「あっビクッてした。驚いちゃった? でも、もう少し我慢してね?」


「さわさわさわ〜。なんだか癖になっちゃいそう」


(肩に触れる千歳)


「次は肩を触ってもいい? まっあんたが嫌だと言っても触るけど。んっ、かなり固いわね。たくさんほぐしてあげないと」


「いちにー、いちにー」


「ふふっ私が触るたんびに体がピクピクッてしてる。もっと触ったらどうなっちゃうのかしら?」


「やだ? でも、あんたすごく気持ちいいんでしょ?」


(主人公の耳元で囁く千歳)


「だって声出てる。私が触ると「んっ」て。押さえきれない? 我慢しなくてもいいのよ。ねぇ、もっと聞かせて?」


「大丈夫。私に委ねればいいんだから。ほらっ、もっとほぐしてあげる」


(肩を揉む千歳)


「いちにー、いちにー、いちにー」


「肩が段々あったまってきたわ。少しコリもほぐれてきたし」


「ふふっさっきまで我慢してたのに、我慢できなくなってる。これも、私のおかげね」


「楽になってきた? そう、それは良かったわ」


「じゃあ、あともう少しだけ揉ませてほしいわ」


「なんでって? ふふっなんだかあんたの肩を揉むのが癖になっちゃったわ。だって……」


(主人公の耳元に顔を寄せる)


「あんたの気持ちいいって声を聞いたら、なんだか癖になっちゃったんだもん。最後までやらせて欲しいわ」

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