第21話 カツア湖周辺の調査(あとブルードレイク倒しちゃいました😜)

 僕とエミリスは今、カツア湖周辺を探索している。


 はぁ…。本当に最悪だよ。


 遡ること数分前、依頼を断わろうと反論していた僕たちだが、ギルドマスターからの「頼むじゃん。」でどこからともなく現れたモントールさんに転送門ゲートで転送されてしまった。

 だからガラナ王国から歩いて何十キロも離れたところまで歩いたからとかならではなくまた不運な目にあってしまったから最悪だと思っているのだ。

 ちなみにモントールさんに連絡すれば転送門ゲートが開くので、何かあってもすぐ帰れるようになっている。


「ねぇ、私たちだけで倒せると思う?」


 エミリスが不安そうに僕に尋ねてくる。


「大丈夫ですよ。最悪、調査だけでいいってナーナさんも言ってましたし…。」


 実はカツア湖に転送される直前にギルドマスターから、


『討伐って書いてあるけど、あくまでも依頼内容は原因を調査するだけでいいじゃん。討伐は二の次じゃん。まぁ、倒せるっていうなら倒してもいいじゃん。報酬は弾むじゃん!』


 と言ってニコニコして送り出されたのだ。


 なので周辺を調査して原因を突き止めればそれで依頼は達成したことになる。まぁ明らか後半の言い方は欲でてたような気がしたけど…。


 それも仕方ない。通常種ノーマであるブルードレイクから取れる鱗はその美しさと頑丈さから武器や防具、装飾品の素材にもなるため価値が高い。希少種プレマであるサファイアドレイクであればなおさらだ。

 さらに原因を突き止めたとなれば、その土地の権限を得ることができるため、他の国のギルドも腕利きの冒険者を集めて調査しているのだ。


 じゃあ僕たちのギルドも強い人推薦したらいいじゃん…。なんで僕たちなのさ。

 しかもまだ10歳と12歳だよ?


 しばらく湖周辺を歩いていた僕たちだが違和感に気づいた。

 ブルードレイクどころか調査に来ているはずの冒険者たちの姿が見当たらないのだ。


「なんか魔物どころか人の気配もないね…。本当にブルードレイクなんているの?」


 エミリスが周りを見ながら僕に聞いてきた。


 そんなこと僕だって知りたいよ…。


「もしかしたら先に来ていた冒険者が全部倒したのかもね。ここは何もなかったし、モントールさんに連絡して早くかえろー」


 とエミリスに提案をした時だった。


「うぅ…。」


 どこからかうめき声が聞こえてきたのだ。


「ひゃッ!」


 僕は思わずエミリスの後ろに隠れてしまった。

 エミリスが冷たい視線をこちらに向けてくる。


「ワーク…。さすがに女の子の後ろに隠れるのは男としてどうかと思うよ?」

「ごッごめん…。」


 僕はエミリスに謝って声の主を探した。


「あの…。誰かいますかー!」


 僕は大きな声で呼び、反応をみた。


「こ、ここだ…。」


 大きな岩から掠れた声が聞こえ、僕とエミリスは岩に駆け寄った。


 そこには今にも息絶えそうな男が岩にもたれかかっていたのだ。

 魔物の攻撃を受けたのか足と脇腹に大きな傷を負っていた。


「ワーク!早く治癒魔法を!」

「うん!」


 エミリスに言われて僕はすぐさま男の体に手を当て、治癒魔法をかけた。


「"見真似ペースト発動!"【ヒール】!」

『クリティカルヒット!』


 男の傷はみるみるふさがっていき、あっという間に傷がみえなくなった。


「…どうなってるんだ?」


 男もあまりの回復速度にポカンとしていた。

 治療を負えた男にエミリスは尋ねた。


「あなたはどうしてここに倒れていたんですか?」


 ポカンとしていた男だったがエミリスの問いかけに表情が段々と青ざめていった。


「ブルードレイクだ…。ブルードレイクに俺たちはやられて…」


 男はハッと何かに気付き、辺りを見回し始めた。

 そして僕たちに言った。


「なぁ、俺の他に2人いなかったか!?」


 男の質問に僕たちは首を振った。


「いいえ、私たちがあなたを見つけた時にはあなたしかいなかったわよ。」


 エミリスの言葉にさらに男は青ざめていく。


「そんな…!じゃあ早く報告しないと…あいつらが!」

「落ち着いてください!いったい何があったんですか!?」

「あんたらも早く逃げた方がいい!早くしないと…。」


 エミリスが落ち着かせようと言葉をかけるが男は動揺していて全く聞く耳をもたなかった。

 男はエミリスに任せておくとして僕は岩から離れて他の冒険者を探すことにした。


 はぁ…ギルドマスターめ…。やっかいな依頼を押し付けたな…。それにしても他の冒険者はどこに行ったんだろう?なにか他に手がかりはー


 ドン!


「ッ痛ったぁ!」


 考え事をしながら歩いていると突然何かとぶつかった。僕はあまりの痛さに涙を流し、視界がぼやけた。


 岩?岩にぶつかったの僕?でもこんなところに岩なんてあったっけ…?


 次第に目が慣れていき、ぶつかった物体の正体が分かった。

 ギラギラした眼に大きな口から生えているズラッと並んだ牙、青い鱗を纏った大きな体。

 ブルードレイクだ。ブルードレイクが僕を大きな眼で睨みつけていたのだ。


 な~んだ。ブルードレイクか!全然気がつかなかった!

 いつからいたんだろう?というか待ってこれやばい状況じゃない?


 僕は目の前の出来事に理解が追いつかなかったが段々と今の状態が分かっていくと冷や汗が出てきた。


 ………

 ………………

 ………………………………


 そして長い沈黙の後、


「グオアァァァァ!」

「ギャアァァァァ!」


 ブルードレイクの咆哮と同時に僕も叫び声をあげてしまい、その勢いのまま僕はブルードレイクにアッパーをかましてしまった。しかも全力で…。


『クリティカルヒット!』


 ブルードレイクの体は上へと浮き上がり、地面に倒れるとそのまま動かなくなった。


「ハァ…ハァ…。」


 心を落ち着かせようと息を整えていると先ほどの咆哮を聞いたのかエミリスたちが駆け寄ってきた。


「どうしたのワーク!?何かあった…の?」


 そして目の前の光景を見て唖然としていた。


「ワーク…。説明してもらってもいいかな?」


 エミリスは目の前の出来事が把握できず、僕の肩に手をおいて説明を求めてきた。


 はぁ…。またやってしまった…。


 僕は渋々、エミリスに状況を説明したのだった。




ーーーーーーーーーーー

◯魔物

ブルードレイク:見た目に反して火山地帯に生息しているため、炎に耐性がある。ブルードレイクから取れる鱗は美しさや打撃の効かない頑丈さから高値で取り引きされることが多い。ちなみに生まれてくるブルードレイクの子どもは白色でなぜか成長とともに青くなっていくという。  討伐レベル100



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