第3章:新しい環境と自己発見(大学1年)

 春の陽気が漂う4月、私は地元の大学でスポーツ科学を学び始めた。美月と琴音は都会の大学へ進学し、私たち3人はそれぞれの道を歩み始めた。


 大学生活が始まって間もなく、私は想像以上の孤独感に襲われた。スポーツ推薦で入学した私を、周りの学生たちは特別視した。勉強とスポーツの両立に苦しむ日々。誰にも本音を話せない寂しさ。そんな中で、私の中の雛が頻繁に顔を出そうとするようになった。


(美月と琴音は元気にしてるかな……私がいないところで、もっと仲良くなってたりして)


 そんな不安が頭をよぎるたびに、雛が激しく暴れそうになる。必死に抑え込みながら、表面上は明るく振る舞い続けた。


 練習に明け暮れる日々の中で、美月と琴音への想いが強くなっていった。電話で話す機会はあったものの、画面越しの2人の笑顔を見るたびに、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。


 夏休みが近づいてきた頃、3人はようやく再会の機会を得た。久しぶりに会った美月と琴音の姿に、私の心は大きく揺れ動いた。


「2人とも、なんだか大人っぽくなったね」


 私は嬉しそうに言ったが、内心では雛が激しく騒いでいた。


 3人で地元の海へドライブに出かけた。車を運転しながら、私は必死に雛を抑え込もうとしていた。しかし、夕暮れ時の浜辺で、ついに限界が来た。


「もう、我慢できない!」


 突然の叫びに、美月と琴音は驚いた様子だった。しかし、私はもう止まらなかった。長い間溜め込んできた想いを全て吐き出した。


「みんな私のことを『スポーツだけできればいい』って思ってるみたいで……でも私だって、勉強だってしたいし、普通の大学生活も送りたかった」


 涙を流しながら語る私を、美月と琴音は黙って抱きしめてくれた。その温もりに、雛も少しずつ落ち着いていくのを感じた。


「ごめんね、こんな弱い所見せちゃって……」


 私が小さな声で謝ると、琴音が優しく言った。


「弱くなんかない。むしろ、こんなに頑張ってきたあなたが誇らしい」


 美月も同意してくれた。


「私たちも、ずっと陽菜のこと考えてた。寂しかったんだよ、私たちも」


 3人で強く抱き合った瞬間、私の中の雛が完全に静まるのを感じた。これからの道のりは決して平坦ではないだろう。しかし、この絆さえあれば、どんな困難も乗り越えられる。そう、私たちは信じていた。


 夏の終わりを告げる風が窓を軽く揺らす中、美月のアパートの一室で、私たち3人は再会を祝うように寄り添っていた。月明かりが窓から差し込み、私たち3人の姿を柔らかく照らしている。久しぶりの再会に、私の心は高鳴っていた。


 美月がそっと私の頬に触れた。その指先の温もりに、私は小さく身震いした。琴音は静かに私たちの様子を見守りながら、少しずつ距離を縮めてきた。以前なら、この状況で雛が暴れ出すのを恐れていただろう。しかし今夜は違った。


 私の中で、雛の存在が目覚めるのを感じた。しかし、それは以前のような激しい衝動ではなく、むしろ穏やかな波のように広がっていく感覚だった。不思議なことに、恐怖や抵抗を感じない。むしろ、この状況を楽しもうとしている自分がいた。


「陽菜、大丈夫?」美月が優しく尋ねた。

「何か、表情が違うわね」琴音も心配そうに付け加えた。


 私は小さく微笑んだ。


「うん、大丈夫。むしろ、すごく……落ち着いてる」


 その言葉に、2人は安心したように微笑み返してくれた。


 3人は互いの服に手をかけ、ゆっくりと脱がせ合った。肌が露わになるたびに、私の鼓動は早くなった。しかし、それは恐怖からではなく、純粋な期待と喜びからだった。雛の存在も強くなっていったが、それは私の感覚を研ぎ澄ませ、この瞬間をより鮮明に感じさせてくれるものだった。


 美月の体は、以前にも増して柔らかく、女性らしい曲線を描いていた。琴音のしなやかな肢体は、優雅さと知性を感じさせた。2人の姿に見とれながら、私は自分の中の雛がどう反応するか、そっと確認した。


 私の中で雛の存在が強くなっていくのを感じながら、私は美月と琴音の体に触れていた。これまでは、雛が現れそうになると恐怖に駆られ、必死に抑え込もうとしていた。でも、今は違う。雛の存在を感じながらも、それを受け入れ、むしろ一緒に楽しもうとしている自分がいた。


 驚いたことに、雛は静かに、しかし確かに喜んでいるようだった。これまで感じたことのない、不思議な感覚だった。雛が暴れるのではなく、むしろ穏やかに、この状況を楽しんでいるかのように感じられた。その反応に、私は安心と同時に、新たな興奮を覚えた。


 雛の存在が、私の感覚を研ぎ澄ませていく。美月の肌の柔らかさ、琴音の体の温もり、それらをこれまで以上に鮮明に感じ取ることができた。まるで、雛の感覚と私の感覚が重なり合い、より豊かな体験をもたらしてくれているかのようだった。


 私の指先が美月の背中を這う。その滑らかな肌の感触に、私の中の雛が小さく震えるのを感じた。それは喜びの震えだった。雛が美月の存在を愛おしく感じているのが分かる。私もまた、その感情に共鳴し、美月への愛情がより深まっていくのを感じた。


 琴音の首筋に唇を寄せる。彼女の香りを深く吸い込むと、雛が興奮するのを感じた。その興奮が私にも伝わり、全身に電流が走るような感覚に包まれる。琴音の肌の味わい、その温もり、全てが新鮮に感じられた。


 美月の指が私の胸に触れる。その瞬間、雛が歓喜の声を上げるのを感じた。それは言葉にならない、魂の奥底から湧き上がるような喜びだった。私もまた、その喜びに呼応するように、小さく喘いだ。


 雛の存在を通して、私は美月と琴音の魅力を新たな角度から発見していった。美月の繊細な仕草、琴音の知的な雰囲気。それらが、雛の視点を通すことで、より魅力的に、より愛おしく感じられた。


 同時に、雛の存在によって、私自身の中にも新たな一面を発見していった。これまで抑圧していた欲望や感情が、少しずつ解放されていく。それは怖いものではなく、むしろ自分自身をより深く理解し、受け入れていく過程のように感じられた。


 雛の喜びが私の中で広がっていくにつれ、私の動きもより大胆になっていった。美月の胸に顔を埋め、その柔らかさを堪能する。琴音の太腿を撫で上げ、その滑らかさに酔いしれる。これまでの私なら、決して出来なかったような大胆な愛撫。でも今は、雛と一体となった私には、それが自然なことのように思えた。


 美月と琴音も、私の変化に気づいたようだった。彼女たちの目に驚きの色が浮かぶ。しかし、それはすぐに深い愛情と受容の眼差しに変わった。2人は私の全てを、雛も含めて受け入れてくれているのだと実感し、胸が熱くなった。


 雛の存在を感じながら、私は美月と琴音をより深く愛していった。それは単なる肉体的な快楽を超えた、魂と魂のつながりのようだった。3人の体が溶け合い、そこに雛の存在も加わって、4つの魂が交わり合うような神秘的な体験。


 時折、雛の荒々しさが表面化することもあった。しかし、それは決して制御不能な暴走ではなく、むしろ情熱の表現のように感じられた。美月と琴音も、その激しさを恐れるのではなく、むしろ歓迎しているようだった。


「……本当にあなた陽菜なの?」

「もちろんさ」

「なんか、今日の陽菜、すごい……」


 激しく私に愛撫される琴音は怖れよりもむしろ安寧を感じているようだった。まるでゆさぶられる揺り籠の中にいるような。


 雛の喜びと私の喜びが重なり合い、増幅されていく。その感覚は、これまで味わったことのないような強烈なものだった。まるで、自分の中に眠っていた可能性が、一気に開花したかのよう。


 私は美月と琴音の名前を呼びながら、彼女たちの体を強く抱きしめた。その瞬間、雛の存在がより強くなり、私の中で完全に溶け合ったような感覚があった。もはや、私と雛の境界線はなくなり、ただ純粋な愛と歓びだけが存在していた。


 汗ばんだ体が絡み合い、喘ぎ声が部屋に満ちる。その中で、私は完全な解放感を味わっていた。雛の存在を恐れるのではなく、それを受け入れ、さらには活かすことで、より深い愛を表現できるようになったのだ。


 美月と琴音の温もり、彼女たちの香り、肌の感触。それらすべてが、雛の存在によってより鮮明に、より強烈に感じられる。この感覚は、まるで人生で初めて本当の意味で「生きている」と感じているかのようだった。


 そして、絶頂の瞬間が訪れた。私と雛が完全に一つとなり、美月と琴音との絆の中に溶け込んでいく。それは、言葉では表現できない、魂レベルでの融合だった。


 余韻に浸りながら、私は美月と琴音を優しく抱きしめた。雛の存在はまだそこにあったが、もはやそれは恐れるべきものではなく、私の大切な一部となっていた。


「ありがとう」


 私は小さく呟いた。それは美月と琴音に対する感謝であり、同時に雛に対する感謝でもあった。この経験を通じて、私はより完全な自分自身を受け入れることができたのだから。


 しばらくの静寂のあと、私たちはまたお互いを求めあった。互いの体を丁寧に、そして愛おしむように触れ始める。私の指先が美月の滑らかな肌を撫でると、美月は小さくため息をついた。その反応に、私の中の雛も喜びを感じているようだった。琴音の唇が私の首筋に触れ、その感触に私は身震いした。雛の存在が、その感覚をより鮮明に、より深く感じさせてくれた。


 時間の感覚が失われ、ただ互いの存在だけを感じ取る世界に浸っていく。美月の繊細な指先が私の肌を這う度に、電流が走るような震えが全身を駆け抜ける。琴音の唇が首筋に触れる瞬間、鳥肌が立つほどの快感に包まれる。


 汗ばんだ肌と肌が擦れ合う音が、静寂を破る小さな波紋のように広がっていく。その音が、さらに私たちの興奮を掻き立てる。美月の甘い吐息、琴音の抑えた喘ぎ、そして私自身の声。それらが混ざり合い、官能的な協奏曲を奏でているかのよう。


 時が経つにつれ、私たちの動きは徐々に激しさを増していく。まるで、長い間抑え込んでいた感情の堰が決壊したかのように。美月の背中に爪を立て、琴音の髪を軽く引っ張る。そんな大胆な行動をとる自分に、一瞬戸惑いを覚える。


 しかし、その戸惑いは直ぐに消え去った。なぜなら、私の中で雛の存在がより強く、しかし穏やかに感じられたから。これまで、雛の存在を感じると恐怖に駆られていた。でも、今は違う。雛は私の興奮を増幅させ、この瞬間をより鮮明に、より強烈に感じさせてくれる存在となっていた。


 雛の存在によって、私の感覚は研ぎ澄まされていく。美月の肌の質感、琴音の体の温もり、それらをこれまで以上に生々しく感じ取ることができる。まるで、雛の感覚と私の感覚が重なり合い、より豊かな体験をもたらしてくれているかのよう。


 私の指先が美月の背中を滑り落ちる。その滑らかな肌の感触に、私の中の雛が小さく震えるのを感じる。それは喜びの震え。雛が美月の存在を愛おしく感じているのが分かる。私もまた、その感情に共鳴し、美月への愛情がより深まっていくのを感じた。


 琴音の首筋に唇を寄せる。彼女の香りを深く吸い込むと、雛が興奮するのを感じる。その興奮が私にも伝わり、全身が火照るような感覚に包まれる。琴音の肌の味わい、その温もり、全てが新鮮に感じられる。


 美月の指が私の胸に触れる。その瞬間、雛が歓喜の声を上げるのを感じる。それは言葉にならない、魂の奥底から湧き上がるような喜び。私もまた、その喜びに呼応するように、小さく喘ぐ。


 雛の存在を通して、私は美月と琴音の魅力を新たな角度から発見していく。美月の芸術的な指の動き、琴音の知的な瞳の輝き。それらが、雛の視点を通すことで、より魅力的に、より愛おしく感じられる。


 同時に、雛の存在によって、私自身の中にも新たな一面を発見していく。これまで抑圧していた欲望や感情が、少しずつ解放されていく。それは怖いものではなく、むしろ自分自身をより深く理解し、受け入れていく過程のように感じられる。


 雛の喜びが私の中で広がっていくにつれ、私の動きもより大胆になっていく。美月の胸に顔を埋め、その柔らかさを堪能する。琴音の太腿を撫で上げ、その滑らかさに酔いしれる。これまでの私なら、決して出来なかったような大胆な愛撫。でも今は、雛と一体となった私には、それが自然なことのように思える。


 汗ばんだ体が絡み合い、喘ぎ声が部屋に満ちる。その中で、私は完全な解放感を味わっていた。雛の存在を恐れるのではなく、それを受け入れ、さらには活かすことで、より深い愛を表現できるようになったのだ。


 美月と琴音の温もり、彼女たちの香り、肌の感触。それらすべてが、雛の存在によってより鮮明に、より強烈に感じられる。この感覚は、まるで人生で初めて本当の意味で「生きている」と感じているかのよう。


 そして、絶頂の瞬間が訪れる。私と雛が完全に一つとなり、美月と琴音との絆の中に溶け込んでいく。それは、言葉では表現できない、魂レベルでの融合。


 余韻に浸りながら、私は美月と琴音を優しく抱きしめる。雛の存在はまだそこにあったが、もはやそれは恐れるべきものではなく、私の大切な一部となっていた。この瞬間、私たちは新たな次元の愛を見出したのだった。それは、言葉では表現できない、魂の深部で感じる永遠の絆。美月、琴音、そして雛を含めた私。4つの魂が交わる、特別な愛の形だった。


 余韻に浸りながら、私たちは強く抱き合った。美月の柔らかな髪が私の頬をくすぐり、琴音の温かい吐息が首筋を撫でる。私の中の雛も、この温もりの中で安らいでいるようだった。


「陽菜、今日はなんだか特別ね」美月がそっと囁いた。

「うん、不思議だけど、なんかすごく……完全な感じがした」琴音も優しく付け加えた。


 私は小さく笑った。


「うん、私も感じたんだ。今までずっと抑えてきた何かが、やっと受け入れられて、そして2人と完全に一つになれたような……」


 2人は優しく微笑み、私をさらに強く抱きしめてくれた。その抱擁の中で、私は雛の存在も含めた全ての自分が受け入れられ、愛されていることを感じた。


 窓から差し込む月明かりが、3人の姿を柔らかく包み込んでいる。その光の中で、私は初めて自分の全てを、そして美月と琴音との絆を、完全に受け入れられたような気がした。雛ももう、恐れるべき存在ではない。それは私の大切な一部であり、美月と琴音との絆によって受け入れられ、調和された存在なのだと。


 これからも3人はそれぞれの道を歩んでいく。しかし、今はその未来に不安はなかった。この絆があれば、どんな困難も乗り越えられる。そう確信できた夜だった。


 私たちはそのまま眠りについた。互いの温もりを感じながら、新たな始まりの夜を過ごす。雛の存在も含めて、全ての自分を受け入れられた私。そして、それを受け入れてくれた美月と琴音。この完璧な調和の中で、私は穏やかな眠りに落ちていった。明日からまた、それぞれの場所で新たな挑戦が待っている。しかし、この夜の記憶が、きっと私たちを支えてくれるはずだ。そう信じて、私は目を閉じた。


 翌朝、目覚めた私たちは、これからの関係性について、新たな疑問を抱えていた。しかし同時に、どんな形であれ、3人の絆は決して切れないという確信も持っていた。


 大学1年生の夏が終わり、私たちはそれぞれの場所に戻っていった。しかし、この再会を経て、私の心境は大きく変化していた。雛の存在を恐れるのではなく、それも含めて自分自身を受け入れていく。そんな新たな挑戦が、私の前に広がっていた。

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