第1章:出会いと友情の芽生え(高校1年)

 桜の花びらが舞う4月、私は高校生活の幕開けを迎えた。入学式の日、偶然にも美月と琴音と同じクラスになった。最初は互いに距離を置いていたけれど、文化祭の準備をきっかけに急速に親密になっていった。


 美月の描いた絵が文化祭のポスターに選ばれた時、私は思わず声をかけていた。


「すごい絵だね! 私たち、何か手伝えることある?」


 心の中では、別の自分が騒ぎ始めるのを感じた。


(この2人、なんだか面白そうだな……でも、雛が出てきたらどうしよう……)


 雛のことを考えると不安になる。でも、それを表に出さないよう、いつもの明るい笑顔を保った。


 文化祭当日、美月のポスターは大好評を博した。その夜、3人で学校の屋上で星空を見上げながら、初めて肩を寄せ合った。


「ねえ、私たち、ずっと友達でいられるかな」


 私がふと呟いた瞬間、体の中で何かが騒ぎ始めた。雛が出てこようとしているのを感じ、慌てて深呼吸をした。


(だめだ、ここで雛が出たら……)


 幸い、琴音の優しい言葉と美月の温かな手の感触が、私を落ち着かせてくれた。3人の心に温かな感情が広がるのを感じながら、私は内心ホッとしていた。


 冬休みに入り、琴音の家で勉強会を開くことになった。雪の降る静かな夜、私たちは勉強から逸れ、互いの夢や悩み、将来の話に花を咲かせた。


「私ね、スポーツでみんなに元気を与えられたらいい……かな?」


 そう言いながら、私の中では再び雛が騒ぎ始めていた。スポーツの話をすると、どうしても雛が出てきそうになる。私は必死に抑え込もうとした。


 そんな私の内面の葛藤に、美月と琴音は気づいていないようだった。2人の目には、ただ明るく元気な私の姿しか映っていないのだろう。


 その夜、琴音の家の薄暗い部屋で、私たち3人の関係は大きく変わろうとしていた。窓から差し込む月明かりが、私たち3人の姿を優しく照らしている。空気が張り詰め、誰もが次の一歩を踏み出すのをためらっているようだった。


 私は小さく深呼吸をした。その音が静寂を破り、美月と琴音の視線が私に向けられた。私の中で、雛が激しく暴れ始めるのを感じた。体の中心から湧き上がる激しい衝動に、私は戸惑いを覚えた。


(だめ、出てこないで、雛……!)


 私は必死に雛を抑えようとした。しかし、雛の存在が強くなればなるほど、私の体は熱を帯び、鼓動は激しくなっていった。震える手で美月の頬に触れると、美月は優しくその手を握り返してくれた。琴音は私たちの様子を見守りながら、ゆっくりと近づいてきた。


「大丈夫?」


 琴音の柔らかな声が私の耳に届く。


 私は小さくうなずいたが、内心では雛との激しい戦いを繰り広げていた。美月と琴音には、私の内なる葛藤が見えていないようだった。彼女たちの目には、ただ緊張した様子の私が映っているだけだろう。


 3人は互いの服に手をかけ、ゆっくりと脱がせていった。私のスポーツで鍛えられた体が現れると、美月と琴音は息を呑んだ。しかし、私の中では雛が更に激しく暴れ始めていた。


(抑えきれない……でも、抑えなきゃ……)


 私は歯を食いしばり、必死に雛を押し込もうとした。

 その様子を、美月と琴音は気づいていないようだった。


 美月の体は柔らかな曲線美に溢れていた。琴音のしなやかな肢体は、優雅さと知性を感じさせた。2人の美しさに、私の中の雛はさらに激しく反応した。


 3人は互いの体を丁寧に愛撫し始めた。私の指先が美月の肌を滑るように撫でると、美月は小さく身震いした。琴音は私の肩に唇を寄せ、そっとキスをした。その感触に、私の中の雛が更に激しく暴れ始めた。


(だめだ、このままじゃ……)


 私は必死に雛を抑えようとしたが、その努力が逆に私の動きをぎこちなくさせていた。美月と琴音は、そんな私の様子に気づいたようだった。


「陽菜、大丈夫?」美月が心配そうに尋ねた。

「何か辛そうだけど」琴音も不安そうな表情を浮かべた。


 その瞬間、私の中で何かが崩れそうになった。雛が完全に制御を奪おうとしていた。私は震える声で言葉を絞り出した。


「ごめん……私、実は……」


 しかし、言葉を最後まで紡ぐ前に、美月と琴音が同時に私を抱きしめてくれた。その温もりに包まれた瞬間、不思議なことに雛の暴れが少しずつ収まっていくのを感じた。


「陽菜、無理しなくていいんだよ」美月が優しく囁いた。

「あなたのありのままを受け入れるわ」琴音も温かい声で言ってくれた。


 その言葉に、私の中の緊張が一気に解けていった。雛の存在も、徐々に落ち着いていくのを感じた。


「ありがとう……2人とも」


 私の目から涙がこぼれ落ちた。それは、恐怖や不安の涙ではなく、安堵と喜びの涙だった。


 その後、3人の愛撫は再び始まった。今度は、私の中の雛も静かに、この愛おしい時間を見守っているようだった。美月の柔らかな唇が私の首筋に触れ、琴音のしなやかな指が私の背中を撫でる。その感触に、私は小さな喘ぎ声を漏らした。


 時間の感覚が失われていく中で、3人の体は徐々に一つになっていった。雛の存在を恐れる必要はもうなかった。美月と琴音の愛情が、私の全てを包み込んでくれていた。


 やがて、3人は同時に絶頂を迎えた。その瞬間、私の中で雛が完全に静まるのを感じた。代わりに、深い安らぎと幸福感が私の全身を満たしていった。


 余韻に浸りながら、3人は強く抱き合った。美月の柔らかな髪が私の肩に垂れ、琴音の温かい吐息が私の頬をくすぐる。


「陽菜、ありがとう」美月がそっと囁いた。

「あなたの全てを愛してるわ」琴音も優しく付け加えた。


 その言葉に、私は再び涙を流した。もう、雛を恐れる必要はない。美月と琴音との絆が、私の中の全てを受け入れ、包み込んでくれていた。


 窓から差し込む月明かりが、3人の姿を柔らかく照らしている。その光の中で、私たちの新たな関係が芽生えたのだった。これからどんな困難が待ち受けていようとも、この絆があれば乗り越えられる。そう確信できた、特別な夜だった。


(これが……愛なのかな)


 そんな思いが私の心を満たしていった。


 高校1年生の終わりに近づく頃、3人の友情は揺るぎないものとなっていた。しかし、これは私たちの物語の始まりに過ぎなかった。これから先、様々な試練と喜びが3人を待ち受けているのだった。

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