幕間:小さな波紋―愛の目覚め―

 私の名前は愛。

 美月の妹です。


 姉のことは普段から尊敬していましたが、あの日見てしまったものは、私の世界を大きく変えてしまいました。


 夏休みのある暑い日、両親が出かけていて家には私と姉しかいないはずでした。しかし、午後遅く、私が外から帰ってきたとき、玄関に見慣れない靴があるのに気づきました。琴音さんと陽菜さんの靴でした。


 静かに2階に上がると、姉の部屋から微かな物音が聞こえてきました。扉は少し開いていて、中の様子が少し見えました。好奇心に負け、そっと覗いてしまった私は、驚きのあまり声を上げそうになるのを必死で押さえました。


 姉の部屋で繰り広げられていたのは、想像を絶する光景でした。

 姉と琴音さん、陽菜さんの3人が、裸で愛し合っていたのです。


 陽菜さんの鍛え上げられた身体が、姉の柔らかな曲線美と対照的でした。琴音さんのしなやかな指が、2人の体を愛おしむように撫でていきます。3人の吐息が部屋中に満ちていて、その甘美な空気に私まで酔いそうになりました。


 姉が琴音さんの胸に顔を埋めると、琴音さんは優しく姉の髪を撫でました。その仕草に、深い愛情を感じました。陽菜さんは後ろから姉を抱きしめ、首筋にキスの雨を降らせています。姉は小さな嬌声を上げ、その声に琴音さんと陽菜さんの動きが更に熱を帯びていきました。


 琴音さんの指が姉の秘部に触れると、姉の体が大きく震えました。陽菜さんは姉の胸を優しく揉みしだき、姉は快感に顔を歪めています。3人の動きが次第に激しくなり、互いの名前を呼び合う声が聞こえてきました。


「美月……」「琴音……」「陽菜……」


 その声には、純粋な愛情が溢れていました。魂と魂のつながりを感じさせるものでした。


 絶頂が近づくにつれ、3人の動きはさらに激しさを増していきました。姉が背中を大きく反らすと、琴音さんと陽菜さんが同時に姉を抱きしめます。3人が同時に高みに達した瞬間、部屋中が静寂に包まれました。


 その後、3人はしばらくの間、ただ抱き合っていました。その姿は神聖で美しく、まるで芸術作品のようでした。姉の頬を伝う一筋の涙が、私の瞳に深く刻み込まれました。


 私は、自分が目撃してしまったものの重大さに震えていました。姉と琴音さん、陽菜さんの関係は、単なる友達ではありませんでした。それは深い愛情で結ばれた、特別な絆だったのです。



 その夜、私は眠れませんでした。頭の中で、目撃した光景が何度も繰り返されます。罪悪感と好奇心、そして何か言葉にできない感情が、私の中で渦巻いていました。


 私は慌てて目を閉じました。しかし、それは逆効果でした。閉じた瞼の裏で、映像はより鮮明になります。暗闇の中で、姉たち3人の姿がより立体的に、より生々しく浮かび上がります。


 私は、自分の呼吸が荒くなっていくのを感じました。胸の鼓動が早くなり、体温が上昇していきます。理性では「見てはいけないもの」と分かっているのに、感情がそれに追いつきません。


 3人の吐息が聞こえてくるようで、私は思わず耳を塞ぎました。しかし、その音は私の内側から聞こえてくるもので、塞ぐことはできませんでした。


 むしろ、耳を塞いだことで、自分の鼓動と姉たちの吐息がより鮮明に聞こえてきました。



 愛はベッドの上で震えていました。


「これは……これはいけないこと……」と愛は自分に言い聞かせようとしました。


 愛は、心臓の鼓動が早くなるのを感じました。

 頭の中で繰り広げられる光景が、体にも影響を与えているようでした。

 手が自然と動き、自分の体に触れていることに気づきました。


「あっ…」


 まだ一度もひらかれたことのない秘部に指先が触れた瞬間、小さな声が漏れます。

 今まで感じたことのない感覚が体中を駆け巡ります。

 罪悪感と快感が入り混じり、愛は混乱していました。


「これって……いけないことなのかな……?」


 そう思いながらも、指の動きは止まりません。姉たちの姿が頭から離れず、むしろより鮮明になっていきます。姉たちの動きを真似て、さらに手が激しく動きます。


 体が熱くなり、呼吸が荒くなっていきます。


 愛は、複雑な感情に包まれながらも、自分の体の変化に戸惑いを覚えていました。


 心臓の鼓動がさらに早くなり、呼吸も荒くなっていきます。

 これまで経験したことのない感覚に、愛は不安と好奇心が入り混じった気持ちでいっぱいでした。


 体の奥底から何か大きなものが湧き上がってくるような感覚。

 愛は目を閉じ、その未知の感覚に身を委ねました。


 体の震えが増していき、頭の中で様々な感情が渦巻いています。

 罪悪感や恥ずかしさ、そして不思議な高揚感。


 愛は、自分が大きく変わっていく瞬間を感じていました。

 それは怖くもあり、同時に新しい自分との出会いでもありました。


 やがて、大きな波が押し寄せるような感覚と共に、体中が小刻みに震えました。


「はぁ……はぁ……」


 その後、愛はしばらくじっとしていました。

 複雑な感情が胸の中でぐるぐると回っています。


「あたし……どうしちゃったのかな……」


 そんな思いと共に、愛はやがて深い眠りに落ちていきました。



 翌朝、姉と顔を合わせたとき、私は平静を装おうとしましたが、姉の鋭い目が私の異変にすぐ気づいたようでした。


「愛、どうしたの? 何かあったの?」


 姉の優しい声に、私は全てを話してしまいそうになりました。

 でも、言葉にはできませんでした。代わりに、こう言いました。


「お姉ちゃん、今、幸せ?」


 姉は少し驚いた表情を見せましたが、すぐに優しい笑顔になりました。


「ええ、とても」


 その笑顔に、昨夜見た姉の幸福に満ち足りた表情が重なりました。


 その日以来、私は姉と琴音さん、陽菜さんの関係を、新しい目で見るようになりました。3人が一緒にいるとき、その空気感の特別さに気づくようになりました。時には羨ましくもなりました。あんな風に誰かを愛し、愛されることがあるのだろうかと。


 あれからかなりの時が経ち、私も大人になりました。姉たち3人の関係は、世間の常識では理解されないかもしれません。でも、あの夜見た3人の姿は、間違いなく純粋な愛に満ちていました。


 今では、姉たち3人の幸せを心から願っています。そして、いつか私も、あんな風に深く誰かを愛し、愛されることができたらいいなと思っています。


 あの夜の出来事は、私の中で大切な秘密として、今も心に残っています。

 そして、愛は……愛の形はそのままでいいんだ、ということを教えてくれた、大切な記憶になっているのです。



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