Episode 3.5 騎士と使用人の会話

私はこれまでに多くの若者が騎士を目指し、ある者は挫折し、ある者は騎士になる姿を見てきた。

その私も今回ルーク卿がマルタ様に提示した食材調達からの料理という訓練方法は初めて聞いた。


マルタ様と別れた後、私はルーク卿になぜ料理を課題にしたのか、について尋ねてみた。


「ルーク卿、少しよろしいですか?」


「お、ミーシャじゃねぇか。昔みたくルーカスで良いって言ってるだろ」


「貴方様はもうただの騎士ではございませんゆえ。それよりも一つ伺いたいのですが」


「ん?どした?」


「マルタ様の訓練、なぜあのような形にしたのですか?しかも私が美味しいと言うまでなんて」


「あぁ、それか。アイツはまだ、ただの村娘だからな。身体が全く訓練に向いてねぇんだ」


「でしたら筋力を鍛えるなどするのでは?」


「そうさ、だから"食材調達から"なんだ」


「と、申しますと?」


「食材調達には体力と技術がいる。そこら辺に並んでいるやつだって生息地は森や崖や砂漠だったりするんだぜ。そんな環境で体力と技術、知識と経験を身に着けさせるのが手っ取り早い。この経験は一人で旅をするときにも必ず役に立つ」


「なるほど、だからなんですね」


「まぁな。しかし、いくらなんでも一人でぽいっはあれだからアイツの見守りは頼んだぜ、ミーシャ。あとすぐに美味いなんて言うなよ、最低でも5回はやらせろ」


「はぁ、仕方ないですね。承知しました」


「10年前のミーシャはもっと怖かったがな。俺なんてなんど泣かされたことか」


「あら、問題児だった貴方が悪いのよ、ルーカス様」


そう言って私とルーク卿は別れた。

明日からの私の業務はマルタ様の成長を見守ることだ。

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