まずキャラクターが良い。皮肉屋で好色(?)の主人公、その彼に呆れつつ大切に思って守ってくれる最強の相方……。軽妙なやり取りが最高に楽しい。世界設定、主人公が背負う背景も良い。ただ軽妙なだけじゃない。伝染病や、宗教と医術という、どこか現実世界にも通じるジレンマが物語に深みを持たせている。それになぜだか、読んでいて飽きない。緊張と弛緩の繰り返し、バランスが実に上手いと思う。重いテーマを軽妙なベールとストーリーの中毒性で包む見事な手腕。これからの展開が楽しみな作品だ。