第13話

魚竜シーサーペントの死骸を撒いたら予想通り巨大イカは岸のほうに近づいてきた。全長およそ20mほど。倒したら村の人たちにもおすそ分けしよう。

じゃ、段取り通り魔力の八割を使って火槍ファイアランスを作成し、イカに

放つ。


『シュパァァアアン』


うん。結構いい感じ。やっぱり魔力の八割を注ぎ込んだだけはある。最近の訓練で魔力の操作もうまくなってきたから魔力を無駄に使うことも少なくなった。え?

なんで全部魔力を込めなかったかって?村を歩いてたら村人さんが短剣をくれたんだ。その短剣で訓練をしてたら、魔力浸透っていうスキルを得たんだ。これによって、魔力で武器の切れ味や強度などは上がったし、属性も乗せられるようになった。これを使うのに魔力が必要だから、魔力を二割ほど残しておいたのさ。属性を乗せるときに気づいたのが、自分の魔力から、魔法系統を選択してその魔法系統の魔力を自分の魔力を消費して作り、作った魔力で技を出すということ。これを属性魔力と呼ぼう。つまり、火魔法を使おうとしたときに、自分の魔力から火の魔力を作って、それで火魔法を生成するといった感じだ。

さて、肝心のイカはどうなのかというと…。薄っぺらいところの半分ぐらいに円形状の穴が開いている。動きも最初と比べてぎこちなくなっているし、体力を二分の一ぐらいは削れたと思う。もう余っている魔力はないので、接近戦をするしかない。ベルガントも善戦して踏ん張ってはいるがやっぱり格上のようでやられるのも時間の問題。短剣を鞘から抜き、火の魔力を乗せる。乗せた魔力は火だが水では薄れずに標的に当たった時に弱くなる。だから急いで泳いでいく。イカはしっかりと浮いている体勢なので浮いていくところに上陸する。幸い、足による妨害などはなかった。上に上がると、眼球が露出しているのが分かったので、火の魔力を乗せた短剣で眼を切り裂く。しばらくプルプルと痙攣していたが、やがて動かなくなった。おそらく倒せたので任務完了だろう。

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