第26話 ゼントVSクオリファ、決着!
ゲルドン杯格闘トーナメント第一回戦。
俺はゲルドンのパーティーメンバーであり、弟子のクオリファからダウンを奪った。
決まり手は、右飛び
「分かっているだろうな! 俺に
クオリファは
「俺がダウンするなんて……俺は大勇者ゲルドンの弟子だぞ……! パーティーメンバーだぞ」
『4……5……6……!』
審判員のダウンカウントは止まらない。
「そのカウント、やめろってんだ!」
クオリファは
「のやろおおおーっ!」
クオリファは俺に向かって走り出し、パンチをラッシュし始めた。
しかし、俺にはパンチが遅く見えていた。彼の右フックは手の甲で叩き落し、左ストレートは
「はあっ、はあっ、はあっ!」
クオリファは、俺をギラリとにらんだ。
「な、なんなんだ、オメーは……。何で全部、かわせるんだ?」
しかし、彼はそう言いながらも、俺から五歩ほど離れ、体勢を低くした。
「ゼント! あいつ、何か
セコンドのエルサが声を上げた。
「そうか、ゼント! あいつ突進してくる!」
観客は騒然となった。
「おい、クオリファの得意技が出るぞ!」
「あの技で、魔物のトロールを一体、気絶させたらしいぜ」
「ゼントとは体重差がありすぎる! ゼントは吹っ飛ばされるぞ!」
その瞬間、クオリファは俺に向かって突進してきた。この長い距離で、俺と同様に、飛び
「きええええーっ!」
クオリファは甲高い声を上げる。
そして大きく飛び上がり、右片足を突き出す――。
クオリファの走り飛び
よし、ここだ!
俺もクオリファに向かって、走り出した。
しかし、俺も大きくジャンプして、蹴りを繰り出していた。走り飛び
ドガアッ
音がした。
俺はクオリファより高く飛んでいた。俺のつま先は、クオリファの
「ゼ、ゼントの飛び
「た、高ぇジャンプだな」
「すげえ……飛び
観客たちが声を上げる。
クオリファは、「クッ」という声を上げて、地面に
クオリファはあわてたように、俺の方を見た。わかっている。こんなもんじゃ、クオリファは倒せない。
俺の真の
クオリファがヨロヨロ立ち上がった瞬間――。
俺は素早くクオリファに近づき、体幹を回転させ、拳を繰り出した。
ドゴオッ
俺の右フックが、クオリファの右こめかみをとらえていた。
しかし、クオリファもタフだった。倒れるのをこらえた。おっ……? クオリファの目が冷静だ。
持ち直したか!
彼の左ジャブ、右ストレート、右ボディパンチ!
クオリファは流れるような攻撃を仕掛けてきた。
俺は全部、手ではじき飛ばす。
だが、体重差があるだけに、ヤツの攻撃が重く、腕が痛い! しかし、ダメージは無しだ。
俺も
クオリファは突如、大砲のような右ストレート! 俺はガードしたが、1メートルは後退させられた。くっ、腕がしびれる。だけど、たいしたことはない!
なるほど、この冷静な状態が、彼の実力なのか。
「おい」
クオリファは笑っていた。
「久しぶりだぞ、こんなに手ごたえのあるヤツは」
そして続けて言った。
「そろそろ決めるぜ!」
クオリファは体に勢いをつけた。
ブンッ
……しかし、俺は
「なんだと!
クオリファは目を丸くしている。俺はその
ガッ
「ゲフ」
クオリファが声を上げた。そしてもう一発! ここだっ!
ゲキイッ
俺は彼の
「ぐ、へ」
クオリファは、リングに
「き、決まった……!」
「やりやがった!」
「あれは立てない」
観客たちが口々の声を上げる。
『ダウンカウント! 1……2……3……!』
審判席からダウンカウントの声が上がる。
「ぐっ!」
クオリファは、ハアハアと息をあげ、「ぐうおっ!」と気合一閃、立ち上がろうとした。
「み、見てろおっ!」
クオリファは、何とかファイティングポーズをとろうとした――。
ヨロッ
しかし、彼はよろけた。また、リング上に
審判席の審判は、手でバツのマークを作った。
そしてすぐに、カンカンカン――とゴングの音がした。
『6分20秒! ゼント・ラージェント、KO勝ち!』
審判員があわてて、放送を告げる。
ウォオオオッ!
観客たちは声を上げた。
「す、すげえ……!」
「まじで? クオリファ、負けたの?」
「何なんだ、あのゼントって野郎は! すげえヤツだ!」
すると……。
「やったぁああーっ!」
エルサがリング上に飛び込んで、俺に抱きついた。
「すごいすごい、強くなったね、ゼント!」
エルサこそ、お前、そんなに動いて大丈夫なのか? 俺はちょっと心配した。
一方……。
「ち、ちきしょう……。ゲルドンさんに、何て言えばいいんだよ」
リング上に座り込んだまま、声を上げたのは、クオリファだ。
クオリファは俺をにらみつける。しかし……。
彼は俺を見て、やがてフッと笑った。
「あんた……すげえな。マジでいい試合ができたぜ。あんた、マジで何モンだ?」
「俺はゼント・ラージェントだよ。ハハ……」
俺は頭をかいて笑った。
するとクオリファはうなずきながら言った。
「ゼント、あんた、何かすげえことをやるかもしれねえな。ゲルドンさん、最近、ちょっとおかしいんだ。俺は弟子だから、それを見て見ぬふりをしていたが……。ま、あんたと闘えたことを、
俺とクオリファは握手をした。
次の試合は、エルフ族のローフェンの試合がある。
しかし、そのローフェンの試合後――。
俺はとある美少女と知り合うのだった。彼女の名はサユリ。
最強の美少女
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