第8話 いざ、ダンジョン
「一応僕の姉という設定らしいから、
「分かりました。探索者ランクは一応ここも潜れるようにEで発行しておきますね。」
「助かる。」
探索者ランクはF~Aまでの6段階で評価される。その上にS、SS、SSSという指標も存在するが、それはもはや戦略兵器級の人間であり、国防に深くかかわるため行動が制約されるなど義務を負うことになるため、一般的には6段階という認識がなされている。
SSSと言えば現職のダンジョン庁長官だとか、海軍陸戦隊第2師団長だとか、近衛師団第1師団長とか、それくらいである。
ちなみにだが僕はこれでもAランク。ついでに言うとSSランク相当のお墨付きも貰っているが、敢えて試験を受けないことによってAランクを維持している。
「お姉様、用意が出来ました。早速潜られます?」
「うむ。軽く準備運動してから潜るとしよう。」
ラジオ体操を第一から第三まで済ませ、軽く槍捌きを見させて頂く。
曰く、槍術には皇后陛下からお手解きをお受けになって親しみがあられるとのことで、二槍を持ってもその動きは見事なものだった。
「さすがです。しかし槍術は対人を想定しておりますので、人と似ないモンスターには十分ご注意下さい。」
「分かっているさ。そのために君がいるわけだしね。頼りにしているよ、
にやっと悪戯っぽく微笑まれるお姉様。このお仕草一つとっても世の男を惚れさせる魔性が潜んでいる。斯く言う僕も、もし今こんな装いでなければ好きになっていたことだろう。それもお姉様のご趣味に付き合わせられてのことでなければ。
とはいえ、僕の目から見ても、お姉様の槍術は実戦に足り得るものであられた。これならEランクダンジョンである浅草ダンジョンでも十二分に戦えるだろう。問題は持久力と、あとは血の問題だが……お姉様なら乗り越えて見せて下さるという謎の確信がある。この方なら、この期待を無下にはされないだろう。
「では、参りますか。」
「いざ、浅草ダンジョン攻略と行こう!」
僕とお姉様は、衛兵に軽く会釈して、探索資格証明証を呈示する。さすれば衛兵は頷いてバーを上げ、我々を通す。
この事務的な作業の内にもこちらは偽造がばれないかどうか冷や汗たらたらなのだが、幸いな事にお姉様のご尊顔はそこまで世間に知られていないらしく、無事に通してもらえた。
貰えたのだがしかし。
「あの、お姉様? 何故自転車をお持ち込みになったのですか?」
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