もはや厄災

ゴールデンウィーク初日。

俺達はドリームランドに遊びに来ていた。

今は開園を待っている所だ。


「まず何処へ行こうか?」


俺の質問に美咲が手を挙げる。


「美女と怪獣に乗りたいな」


それに拓磨が「あー」と声を上げる。


「最近出来たアトラクションだよな? 乗った事ないし良いんじゃないか?」


「俺も良いと思う。そこにしよう」


やがて開園の時間になり、俺達は入場すると真っ先に美女と怪獣のアトラクションに向かう。

俺達の前に並んでいた人も多くいたので、既に列になっていた。


「やっぱ出来たばかりだから人気だな」


拓磨のその言葉に俺と美咲は頷いた。

初めは外で待っていたが列が進み建物内に入る事が出来た。

建物内の世界観に浸りながら列を進んで行く。

あと少しという所まで来た時、スタッフの声が響き渡った。


「現在、並んでいるお客様にお伝え致します! 美女と怪獣のアトラクションですが、マシントラブルの影響で稼働を一度停止致します。大変申し訳ございませんが、復旧次第運行再開となりますのでご了承ください。つきましてはどのアトラクションでもご利用できる優先パスをお配り致しますので、そのままお進みください!」


その案内があった瞬間、拓磨と美咲の目がこちらを向いた。


「……やってしまったかな」


俺は頭を掻きながら口にした。


「まあ、大吉のせいではないけど初手からか、流石だな」


「優先パス貰えるみたいだし、このアトラクションが再開した時用に取っておけばすぐに乗れるから大丈夫よ、まだ午前中だし」


「そしたら次はビックファイアーマウンテンに乗ろうぜ」


優先パスを貰った後、拓磨の提案でビックファイアーマウンテンの場所へ移動した。


「只今、マシントラブルの影響で……」


そこでは、美女と怪獣のアトラクションとほぼ同じようなアナウンスがされていた。


「……なぁ、大吉。前行った時はいくつのアトラクションを止めたか覚えているか?」


「えっと、確か二つ?」


「じゃあ、次からは大丈夫ね。次はウォーターマウンテンに行きましょう!」


あえて明るく言った美咲の一言で次のアトラクションに行く事にした。


「……大吉、お前のマーフィー成長しているぞ?」


「……マーフィーって成長するんだね」


「……もう凄いしか言えないわ」


向かった先のアトラクションも止まっていた。


流石にもう無いだろうとコスモマウンテンに向かった。


「メインどころ全て制覇だな大吉!」


「大吉、連休中にお祓いに行くわよ。一日空けておいてね」


まさかの一日に四つのアトラクションを止めてしまった。

二人のテンションもおかしくなっていた。

ただそこからはアトラクションは止まることなく乗れて、止まっていたアトラクションも順次復旧し、美咲が乗りたがっていた美女と怪獣にも乗る事が出来た。

次来る時は俺の厄除けをしてからだなと帰りの電車の中で本気で話し合った俺達だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕に恋愛は難しい 宮田弘直 @JAKB

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ