15_虹の神殿
中央広場を抜けて、さらに奥に進むと白の神殿と同様に神聖な雰囲気を醸し出す建物があった。だが大きさは白の神殿の比ではない。白の神殿の3倍程の大きさはありそうだ。
「ついたわね。ここが私たちの拠点、虹の神殿よ」
虹の神殿の大きな門の前に来るとハンナは立ち止まり、ダンテたちの方を振り向くと言った。
「ここが言っていた虹の神殿か。想像してた以上にデカいな」
ダンテは、虹の神殿を見上げ、想像を絶する神殿の巨大さに驚嘆する。
「ええ、でも、安心して。今は白の神殿のように、命をやりとりが求められる試練はないから」
ハンナは、ダンテがなんとなく懸念していた点を前もって言ってくれた。
「良かった。さすがに連戦は疲れるからな。ハンナに回復してもらったとはいえ、休まないと精神的にきつい」
ダンテは、ハンナの言葉を聞いて肩の荷が下りる。神殿と聞いて、実はメイテツが以前言っていた試練のことを彼は思い出していた。
他に6つの神殿があり、力と記憶を取り戻してほしいというメイテツの言葉。白の神殿のように、神殿ごとに毎回試練を受けることになるかもしれないと彼は推測していた。
試練はないという言葉に、一度、ホッとしたダンテだが、彼女のある一言が引っかかっていた。
「一つ聞いていいか。今は……ってどういうことなんだ?」
ダンテは彼女に気になっていることを恐る恐る尋ねる。
「そのままの意味よ。今は試練を受けなくていい。というよりも受けられないというのが正しいかもね。ここ、虹の神殿は6つの神殿の試練を制した人間にしか試練を受けさせてくれないの」
ハンナは、そう言うと持っていた杖でトンと地面をついた。すると、虹の神殿の巨大な扉が、ひとりでにゴゴゴという轟音を鳴り響かせながら開いた。
扉の先は漆黒の闇が渦巻いて何も見えない。かと思えば、その闇に引きずり込むように、強烈な風がダンテたちをいきなり襲う。
「ぐっ、なんだ、これ!?体が吸い込まれるぞ」
ダンテは、扉の先の闇に今にも引きずり込まれそうになり、困惑する。
「落ち着きなよ。大丈夫。神殿の中に入るだけだから危害はないよ」
近くにいたテラは、この状況に慣れている様子だ。困惑するダンテを見て落ち着かせようとする。
「命を狙ってきた奴に言われても説得力があまりないんだよ……」
ダンテは若干ため息混じりで呟いた後、ハンナの声が聞こえた。
「行くわよ。抵抗しなくていい。この闇の導きに身を委ねて……。今よ、ジャンプして」
状況を把握できてはいないが、ダンテはとりあえず彼女の言葉を信じて、地面を蹴り思いっきりジャンプする。その瞬間、ダンテの身体は、あっという間に扉の闇に吸い込まれていき、その深淵へと飲み込まれていった。
ダンテたちが闇に完全に飲み込まれたと同時に神殿の扉はガタンと勢いよく閉まった。
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