12_再会

 まるで一回り大きな巨獣に乗り掛かられているかのような剣の重圧。そんな重圧を今にもひび割れ砕け散りそうな剣を通じてダンテは、ひしひしと感じていた。


 このままだと、剣は砕け一刀両断にされてしまう……。さらにマナを集中させ強度を最大限にしないと。


 ダンテは、光の剣と交わる点に溢れるマナを一点集中させる。


 こちらの剣が砕かれる前に、光の剣を断ち切る。 


「「うぉおおおおおおお!!!!!」」


 両者ともに激しく燃え滾る闘志を瞳に宿らせ、叫び声を上げると、ありったけのマナを剣に注ぎ込む。


 二人のマナが衝突し反発し合う。凄まじい轟音を鳴り響かせ、目が眩むほどの強烈な光を放つ。次第にその光は膨張し二人をあっという間に包んだ。


 その直後、刃が砕ける音がした。


 今だ。


 真っ白な光に包まれながら、ダンテは地面を思いっきり蹴った。紙一重の差で、ダンテの力が、テラの力を上回った。テラの振り下ろした光の剣は、亀裂が入り砕け散っていた。


 光の剣を失ったテラは、技の反動で身動きが取れなかった。そこに畳み掛けるように、ダンテは距離を一瞬で距離をつめる。


 テラは、自分の剣撃を打ち破ってきたダンテを見て笑みを零し呟いた。


「君は伝説の剣士で間違いなさそうだ」


 ダンテは、剣先をテラの喉元にやり言った。


「テラといったか。この世界について色々と聞きたいことがあるが、ハンナという女性を知らないか?」


 ダンテに剣先を向けたテラは、両手を上げ、もう戦う意思はないことを示すと、大人しく、彼の問いかけに答えた。 


「そりゃ、もちろん、知ってるさ。だって、彼女に言われて君とこうやって戦ったんだから」


「ん?どういうことだ……」


 テラの言葉に、ダンテは理解が追いつかず身体をフリーズさせる。

 

 その瞬間、突風が吹き荒れ、巨大な影が二人を覆う。ダンテは、突き刺さるような視線を感じ、恐る恐る横に顔を向ける。


 ド、ドラゴン……。


 大きく見開いたダンテの目には、両翼を羽ばたかせ飛ぶ赤色の゙ドラゴンだった。その体躯は、ダンテとテラをまとめて一飲みできるほどの゙巨大さを誇っている。


 ダンテは眼前に現れた巨竜に呆気に取られていると、ドラゴンの頭の上から聞き覚えのある声が聞こえた。


「あなたは、ここの邪剣を手に入れたのね。それにふさわしい実力も持っている。女神様がおっしゃっていた通りね」


 ダンテは、陽の光に照らされながらドラゴンの頭の上から眺める女性を見て呟いた。


「ハンナ」

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