9 村長と話す
体の右側の方が暖かい?
そんな疑問を持ちながら、俺は異世界での二日目を迎えた。
昨日は、アレやコレやといろいろな事があったので時間が過ぎるのが早かった。
まあ、マイペースな俺からすればいつもの事だったりもする。
起きなければと思いつつ、俺は体を動かした。
しかし昨日眠った時点で俺の所にはいなかった存在が、視界に映った。
それは、
「あれ? なんでリーナが俺と一緒に寝てるんだ?」
リーナの存在である。
俺は考える。どうしてリーナが俺のとこにいるのかを。
「いや、全くわからん!」
結果、何故ここにリーナがいるのかを俺みたいなマイペースやろうには分からなかった。
と、とりあえず、この状況をどうにかしよう。
そう思い、俺はリーナを起こすところから始めた。
「リーナちゃん。起きなよー」
ーーリーナは俺の声に反応しない、気持ちよさそうに寝ている。
ーーそしてただの屍のようだ。
いやっ! 屍はダメじゃん! というか、なにゲーム風になってんのさ!
俺がそんな感じでツッコんでいる間もリーナは気持ちよさそうに、すぴーすぴーと寝息立てながら寝ている。
ここでつんつんと俺がリーナのほっぺを突いたら完全に負けであると思いながら、俺はリーナを起こしにかかる。
「おーい。リーナちゃん、朝だから起きなよー」
そんな二度目の呼びかけに、
「ん…‥? むにぁむにぁ……」
リーナは反応した。ただ、すごく眠そうで一度反応したらまた眠りそうになった。
そこから俺はどうにかしてリーナを起こし、村長のところへ連れて行った。
「ほぉーー。あなたが旅をしてらっしゃるナギルさんですね」
「はい。お邪魔させてもってます」
リーナを引き取ってもらうために村長、ステフォさんの家に来たというのに、今は正座して話をしている。お茶を飲んだり、お菓子を食べたりと色々出させてもらっている。凄くありがたい。
「リーナはどうです?」
どうです‥‥‥?
「あ、はい。とても可愛い子だと思いますよ」
実質本当の事だ。そう思い俺は答えた。
「そうなんですか。それは良かった」
ステフォさんはホッとしたのか胸を撫でながら言ってきた。
しかし何故こんなことを聞いてきたのか? 疑問である。
「リーナは、この村の子とあまり関わりを持たないんです。それに今も何故かナギルさんと一緒にいる」
言われてみればそうかもしれない。
実際のところ、リーナは父親代わりであるステフォさんの横ではなく、俺の膝の上にちょこんと座っているのだ。
だが、出会ってままない関係なのに側から見れば兄と妹、父と娘の様な関係になっているのか。父と娘は流石にない……いや、あるのか?年齢差的にも。わからんな。
「難しい話ですね」
なんと答えるべきか迷った末に、ギリギリ考えることの出来た解答をする。
「そういえば、まだこの村のことを知らなかったでしょう。村に泊まるついでに見て回るのはどうだろうか?」
そんなステフォさんの誘いに俺は乗ることにした。
する事なくて暇して過ごすより、何かあって過ごせた方が良い。
マイペースなのに変な考え方だけど、ごめん。
これが俺のマイペース道なんだよね。というわけで、早速ステフォさんの家から出る。そして、リーナも付いてくる。
「あれ? どうしたの?」
外に出て気が付いた。ステフォさんの家の外には、村の子どもたちがいたのだ。
「えっとねー、たびびとさんにむらをあんないするんだぁー!」
「わたしもだよー!」
「ぼくもー!」
「いっしょにいこー!」
村の少年少女の子どもたちは、次々にそう口にすると俺の手を引っ張って最初の場所へ案内してくれることになった。
まず俺が最初に案内された場所は、村の大人たちが衣服などを洗濯しているところ。
「洗濯、大変そうですね」
現実世界には洗濯機という魔法と言えるほどの道具がある。だが、この世界には存在しておらず、昔の現実世界の人たちがしていたような洗濯用具を用いている。
「大変だよ。けど、洗濯しないと明日の衣服とかがないからねぇ」
「そうですよね」
話を聞いて聞けば聞いていくほど、この世界の文明レベルがあっちのよりも低いということが分かった。
洗濯、料理、家、などなどのレベルは、王国などと比べるとこの村の方はまだ低い。
ということは、王国などに行ってみればどれくらいの文明レベルかが分かるということだ。
まあ、今のところこの村から出るかはないのでゆっくり進もうと思う。
そこから俺は昨日世話になった、ミドル、オーン、フォンのところに子どもたちが連れて行ってくれた。
を昨日ぶりです。皆さん」
ミドルさん達の所にやって来た俺は、そう言った。
「お、元気にしているな」とミドルさんが。
「子どもたちがすぐに気に入るなんてな」とオーンがさんが。
「ナギル君は、もしかして凄い子なのか?」とフォンさんが。
いやいや、凄くはないですよ。最後のフォンの発言に俺はそう思ってしまった。
ん?女神であるシルテにいろいろな事をしてもらったじゃないかって? うん、してはもらったが、どこまで凄いのかが分からない。
『能力値経験値10倍』のおかげで能力値は10倍されたり、『女神のいじり』のおかげでステータスはおかしいなってはいる。
まあ、今のところこのことを誰かに教えるつもりもないので、凄くない子で通そうと思う。
「おにぃーちゃんって、すごいひとなのー?」
「わぁーい、わぁーい!」
ただ、俺の周りには現在子供たちがいるので、俺が凄い子だということを聞いてワイワイガヤガヤ状態になってしまっている。
まあ、子どものことなので、気にはしていない。
「いやいや、俺なんか全然凄くないですよ」
フォンに言葉にそう返す。そんな俺の言葉にミドルたちは、あはははと笑って見せた。
笑い事じゃないんだけどなぁ。
「そういえば、ミドルさんたちは何をしてたんですか?」
子どもたちに連れてこられたのだが、これからミドルたちがすることなどは俺は知らない。だから、今やっている作業について質問をした。
「ん? これから森の方に動物を狩に行くのさ」
背中に弓矢の入った入れ物を背負いながら、ミドルさんが答えた。
オーンさんとフォンさんもミドルさんと同じように弓矢の入った入れ物を背負っている。
「森の方にですか?」
「ああ」
森に動物の狩り、ということは食料の確保というわけだろうか。
黙り込んでいると、オーンさんがついてくるか?と、訪ねてきた。
んー、動物ってのも気になるしな。
「はい。折角なので同行させてもらっても良いですか?」
その言葉にオーンさん達は賛成してくれる。というわけなので、俺はオーンさん達と一緒に森に行くことになった。
そこで子どもたちとは別れることになってしまったのだが、唯一リーナだけが俺についてこようとしていたのだが、昨日ゴブリンと遭遇したこともあったので俺が借りている家に待っておいてもらうことにした。
まあ、帰ってくる頃には村長の家に戻ってそうなのだが。
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