4 異世界

 体に少し痛みを感じた俺は、目を覚ました。地面で寝ていたようだ。


 周りを見渡してみると、草や木で生い茂っていると言う状況になっていた。


 すると、先ほどの記憶を辿ることで俺は異世界に転移された、ということが分かってしまう。


「んぅぅーー」


 立ち上がった俺は背伸びをする。


 意識を失っていた?だけなはずなのに、ものすごく気持ちよかったような気がした。


 まあ、そんなことよりもシルテ様が言っていた近くの村に行かなければならない。


 そう思いながら周りを見渡してみると、完璧に道とは呼べないが道らしきものを発見することができた。


 まあ、簡単に言えば、人が歩くスペースがあるということを俺は伝えたいのだ。


 というわけなので、俺はこの道に沿って歩いていくことにする。


「しっかしー、本当に異世界転移したんだなぁー」


 現在森の中にある道に沿って歩いている俺は、ステータス画面を開き、色々と調べていた。


 調べるものなんてあるのか?って思うかもしれないが、これが意外にもあるのだ。


 BP部分を指でタッチすると、その事についての説明にステータス画面が変わる。


 そんな感じで調べてみた結果がこんな感じである。



 種族・・・その人の種族名を表す。


 攻撃(その他)・・・その人の強さを数値化したもの。


 スキル・・・覚えたスキルや魔法などを記す。覚えられるスキルや魔法には決まりがあり、種族などが関係してくる。スキルを覚えるには、会得条件があるため、それをすると会得が出来る。


 女神のいじり・・・女神がステータスなど色んなものをいじった。常時発動しており、能力値が何十倍にも跳ね上がる。


 能力経験値10倍・・・レベルが上がった際に上がるステータスにある攻撃(その他)が10で上昇する。


 神力解放・・・使い方は不明。今後に期待!


 『神力解放』についての説明は全くなかった。なんというか、シルテのテンションが混じっていた気がする。


 それに、『攻撃:1、防御:1、魔力:1、俊敏:1、器用:1』ってあまりにも低すぎないだろうか? こんなんじゃ戦闘初心者の俺は直ぐ死んでしまいそうだが。


 まあ、あんまり気にしていても意味がないので、気にしないことにはした。


 んー、まだ着かないのかな? しばらく歩いた俺はなんとなくそう思った。


 いや、まだそれほど時間も経っていないと思うのだが……時間わからないし、それにシルテ様が『近くにある村』って言ってたからすぐなのかなぁってなっただけである。


 どちらにせよ、マイペースな俺からすれば早く着いてもらったほうがいいんだけれど、着かないのならもうちょっとゆっくり進もうと思う。


 あ、マイペースなのに早く着いておきたいの?って思っている人がいるかもしれないが、ここは異世界なので安全面をしっかり確保しておきたいということを意味して、思ったのだ。


 とまあ、そんなわけなので、


「よいしょ」


 道の端に立つようにして地面から生えている一本の木に俺は腰掛けた。


 ーーすうぅぅぅぅ


 そんな効果音のような感じの風が頬を撫で、俺の髪をなびかせる。


「日本と違って風が気持ちいな」


 日本に住んでいた頃は、大きな建物が多く建っており風を感じるということが全くと言っていいほどなかった。


 なので、俺にとって異世界の風は凄く心地よく感じてしまう。


 そこで、肌がピリピリとしはじめた。

 

「ん? 静電気じゃないよな」


 なら、俺は何を感じている?


 そう考えだしたところで、


「ギャッギャッギャッ!」


 人間が出すような声が、今俺がいるすぐ近くから聞こえてきた。


 俺は、その声が聞こえてきた方向を振り向く。


 すると、そこには全身緑色で二足歩行の生き物が立っていた。


 その瞬間、現実世界にいた時に読んでいたラノベに出てくる単語を思い出す。


「……ゴブリン……なのか……?」


 そう俺が口に出すと同時に、とりあえずゴブリン (仮)の人間ではない生き物?魔物?が俺を獲物か何かを見るような目つきに変えて、襲い掛かってきた。


 瞬間、俺の脳内から『逃げろ逃げろ』という危険信号を出してきた。


 俺は立ち上がると、休む前まで今まで進んでいた方向を向くと、全速力で走り始める。


 ゴブリン (仮)が追いかけ、俺は逃げる。

 俺が逃げると、ゴブリン (仮)が追いかける。


 ずっとそんな感じで、俺とゴブリンは一定の間隔を開けて走り続けた。


 その途中、俺とゴブリンの間に大きな差が開いたので、道から外れて、木の影に急いで隠れるのだった。

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