3 二人の密談
ナギル=ナツナギがシルテによって異世界に転移させられた後の出来事。
シルテは一人の女性と一緒に同じテーブルでお茶をしていた。
すると女性こと女神アステルが口を開いた。
「シルテも凄いことしたよねぇ」
感心しているのかわからない口調でそう口にすると、テーブルの上に置いてあった菓子を口に入れる。
「何が凄いことさ?」
シルテはナギルと先程までのテンションとは違い、テンション上げ上げでは話さなかった。
そして、菓子を取って口に入れる。
「分かってるんでしょ? 女神恩恵を三つも上げちゃった上に、ステータスをいじりまくっちゃったってこと」
「んー。さぁー、どうだろねぇー」
「またまたぁー」
二人はそんな会話をしながら、一つまた一つと菓子を食べていく。
そこで、シルテが口を開いた。
「女神が人に恋をしてはいけない。そんなものがなかったら、私はナギルと一緒に旅をしに行ったかもしれない」
シルテ自身もナギルと話しているときは感じていなかった気持ちなのだが、ナギルがいなくなって初めてその気持ちに気づいたのだ。
ただ、女神は恋をしてはいけない。絶対に。そんなルールがあるかもしれない。
「ふぅーん。いつ好きになったって思ったの?」
アステルは口を開くと、そう質問をした。
「今さっきだよ。目が合った瞬間にー」
そう答えながらシルテは、どこか遠くを見た。
「あー! シルテ! お菓子の食べ過ぎだよー!」
「いいのいいの。女神は太らないから〜」
「食べすぎてるとナギルくんは振り向かないかもよ〜?」
「そ、そんなことはないの!!」
お菓子の食べ過ぎをエステルに指摘されてしまったシルテだったが、ナギルがそんなことで振り向かないようになるわけないと強く思った。
「って、そんなことはどうでもいいのにー!」
ナギルのことだけを考えれなくなってしまったシルテは、お菓子を放り投げてエステルをポカポカと殴り始めたのだった。
そしてナギルは、シルテがそんな思いをしていることを知ること今はない。
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