第2話

「梅、部員じゃなくてマネージャーなの?」

「当たり前じゃん」

 本気で驚いた顔をしている雅貴に、呆れ果てる。

「えー。俺、また梅と勝負できると思って超楽しみにしてたのに」

 陽香は、奥歯を噛み締めた。勝負したかったのは、陽香だって同じだった。

「雅貴。梅本を困らすな」

 さっきまでいなかったはずの尊志が音もなく現れ、雅貴の脳天に手刀を見舞った。

「いってー…」

「うわああ。濱野の力、洒落になんないから止めて。内海がもっと馬鹿になっちゃう」

「そーだぞ。……ってオイ。俺は馬鹿じゃねー!」

 言い合う二人を見ながら、その変化にいち早く気づいていたのは尊志だった。

「俺も鈍感だったら良かった、かも」

「ん?尊志、なんか言ったか」

「……いーや、別に」

 陽香も雅貴も無意識だったから。

 もう少しこのままでいられたらいい、と尊志は思った。

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