第36話 告白(?)を受けて
「好きだぁあああああっ! そしてお前は私のものだぁあああああああっ!」
『……え?』
エレクトラの言葉に水音は、
(何言ってんだこいつ?)
と、心の中でそう呟きながら、ポカンとした表情で首を傾げた。
水音だけではない。彼の後ろに隠れた進ら4人の男子クラスメイト達にウィルフレッド、更にはエレクトラの父親であるヴィンセントまでもが、
(いや、本当に何を言ってるんだ?)
と、水音と同じように首を傾げた。
すると、
「エレン!」
と、漸くエレクトラに追いついたクラリッサが、「はぁ、はぁ……」と肩で息をしながら、背後から彼女の肩をガシッと掴んで、
「何をやってるのこのお馬鹿さん!」
と、肩を激しく揺さぶりながら思いっきり怒鳴った。
因みに、クラリッサの妹イヴリーヌはというと、クラリッサの後ろで今にも死にそうなくらい、クラリッサ以上に「はぁ、はぁ……」と肩で息をしていた。
「え、ど、どうしたクラりん?」
と、怒鳴られたエレクトラが目をパチクリとさせていると、
「そ、そうだぞエレン! お前は一体何を言ってるんだ!?」
と、漸くハッと我に返ったヴィンセントが、クラリッサと同じようにガシッとエレクトラの肩を掴みながらそう尋ねた。
その質問に対して、
「え、と、父様? どうかしたんですか?」
と、エレクトラは「訳がわからん」と言わんばかりに、頭上に幾つもの「?」を浮かべながら、ヴィンセントに向かってそう尋ね返したので、
「いや、お前。自分が何を言ってるのかわかってるのか? 4回も殺されて頭がおかしくなったのか? 見ろ、お前変な事言った所為で、水音、首を傾げたまま固まっちまったじゃねぇか」
と、ヴィンセントはチラッと水音を見ながら、エレクトラに向かって更に尋ね返した。
その質問を聞いて、エレクトラが更に「?」を浮かべながらチラッと水音を見ると、ヴィンセントが言ったように、首をこてんと傾げた状態で固まってる水音の姿があったので、
「はっ! だ、大丈夫か水音!? い、一体、誰がこんな事を!」
と、水音状態にショックを受けたエレクトラが、周囲向かってそう叫ぶと、
「いや俺の話聞いてた!? お前が変な事言ったからだって言っただろうが!」
と、ヴィンセントにツッコミを入れられてしまい、エレクトラは「えぇ?」と頭上に更に大きな「?」を浮かべた。
すると、「何だ何だ?」と水音やエレクトラ達の周りに、爽子やクラスメイト、そして王妃マーガレットや城の兵士達までもが続々と集まってきた。
その中には女子クラスメイトの1人である祈の姿もあったが、何故か彼女は顔を真っ青にしていて、今にも倒れそうになっているところを2人の幼馴染達に支えられていた。
その後もかなりの人が集まってきた中、
「あー、すまないがいいだろうか?」
と、漸く我に返ったウィルフレッドが、「はい」と手を上げながらそう口を開いたので、未だに固まってる水音を除いた全員が一斉にウィルフレッドの方へと視線を移した。
視線を受けたウィルフレッドは更に話を続ける。
「ここで話すのも難なので、取り敢えず兵士達は持ち場に戻ってほしい。残りは私の部屋に来てくれ」
と、ウィルフレッドがそう言うと、兵士達は全員自分達の職場に戻り、ヴィンセント達も、
「じゃあ、俺らも行きますか」
と、その場を後にして、ウィルフレッドについていった。
そんな中、肝心の水音はというと、
「……」
未だ、無言でその場に固まったままになっていた。
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