第35話 その頃の第2皇女
水音達がウィルフレッドとヴィンセントと一緒に風呂に入ってた丁度その頃、王城内の医務室では、水音に
「……」
「「……」」
そんな状態のエレクトラを、ベッドの傍でクラリッサとその妹イヴリーヌが心配そうに見ていると、
「う、うーん……」
という声と共に、エレクトラが意識を取り戻した。その後、ゆっくりと目を開けた彼女を見て、
「あ、エレン!」
と、彼女の傍にいるクラリッサが口を開いた。
クラリッサの声を聞いて、
「……やぁ、
と、エレクトラが2人を明らかに
「「その呼び方やめて(ください)!」」
と、2人は意識を取り戻したばかりのエレクトラに向かってそう怒鳴り、それにエレクトラは「はは……」と笑った。
その後、エレクトラは首を左右動かしながら、
「ここは……医務室か?」
と、尋ねてきたので、
「ええ、そうよ。あなた、自分がなんでここにいるのか覚えてない?」
と、クラリッサは呆れ顔でそう尋ね返した。
その質問に対して、エレクトラは「え……?」と小さな声で呟くと、少しの間「うーん……」と呻いて、
「そうだぁ!」
と、勢いよくガバッと上半身を起こしながらそう叫び、
「「キャアアアアアッ!」」
と、突然の事にクラリッサとイヴリーヌは驚きの声をあげた。
しかし、エレクトラはそんな2人を無視して、
「思い出したぞぉ。あいつめぇ、確か、『水音』といったなぁ」
と、それまでの記憶を思い出して顔を歪ませた。それは、とても少女がしていい表情ではなく、それを見たクラリッサとイヴリーヌはお互い抱き合ってブルブルと体を震わせた。
そして、
「クラりん!」
と、エレクトラがバッとクラリッサを見てそう言ったので、
「は、はい!」
と、クラリッサは呼び方を注意するのを忘れてそう返事した。
その後、エレクトラはベッドから飛び起きて、クラリッサの両肩を掴むと、
「水音は、奴は今何処にいる!?」
と、もの凄い勢いで揺すりながらそう尋ねてきたので、
「え、ええっと、今、お父様とヴィンセント陛下と一緒にお風呂に入って……」
と、クラリッサは揺さぶれられながらそう答えようとすると、
「何!? 父様と風呂だと!? よぉし、わかった!」
と、エレクトラはそう言ってクラリッサ肩から手を離した後、クラリッサとイヴリーヌを置いて医務室から飛び出した。
エレクトラが去った後、クラリッサとイヴリーヌは暫くの間呆然としていたが、漸くハッとなって、
「ま、待ちなさい、エレン!」
と、大慌てでエレクトラを追って医務室を飛び出した。
そして現在。
「みーつーけーたーぞぉ、水音ぉおおおおおっ!」
前方にいる水音を発見したエレクトラはそう叫ぶと、もの凄い勢いで水音のもとへと駆け出した。
その尋常ではない様子のエレクトラを見て、
「え、え? 何、何なんだぁ!?」
と、水音は「驚き」と「戸惑い」満ちた表情になった。
そしてそれからすぐに、
「待ちなさぁあああああい!」
「待ってくださぁあああああい!」
と、エレクトラの背後でそう叫ぶクラリッサとイヴリーヌを見つけた。
水音は自分が置かれてるこの奇妙な状況の中、
(え、ええ? 何この状況? こんなのどうしろとぉ!?)
と、心の中でそう悲鳴をあげていると、背中に妙なものを感じたので、すぐに後ろを振り向くと、
「み、皆さん!?」
と、水音はそう驚きに満ちた声をあげた。
『ど、どーもぉ』
そこには進、純輝、暁、力石だけでなく、何故かウィルフレッドとヴィンセントがいたのだ。
明らかに自分を
「え、ちょ、皆さん何してんですか!?」
と、水音が更に「戸惑い」に満ちた表情でそう尋ねると、
「だ、だってぇ、なんかこええんだもん!」
「同じく!」
「俺も!」
「俺もだ」
「すまない、私もだ」
「わりぃな。実は俺も」
と、進達がそう答えたので、
「そ、そんな! ふざけないでくださいよ、僕だって怖い……!」
と、水音はそう言い返そうとしたが、それよりも早く、
「みぃなぁとぉおおおおおおおっ!」
と、もの凄い形相で駆け寄ってきたエレクトラがすぐ傍まで来ていたので、
「う、うわぁあああああ! 来るなぁあああああ! そしてごめんなさいいいいいいい!」
と、水音は悲鳴をあげて謝罪しながら、両腕で
(このまま彼女に何かされてしまうのかな?)
と、水音がそんな事を考えていると、エレクトラは水音の目の前でピタッと止まり、
「好きだぁあああああっ! そしてお前は私のものだぁあああああああっ!」
と、水音の手を取りながら、水音に向かってそう叫んだ。
突然の事に水音だけでなくウィルフレッドやヴィンセントを含めた周囲の人達は、
『……え?』
と、皆、一斉に首を傾げた。
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